精選版 日本国語大辞典 「役」の意味・読み・例文・類語
やく【役】
え‐だち【役・】
えき【役】
え‐だ・つ【役】
え‐だ・す【役】
えき‐・する【役】
えた・む【役】
えき‐・す【役】
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〈役〉は古くは〈エ〉と訓まれ,統治権力による人民の賦課,公用の課役・天役を意味していた。調(つき)が物品による税であるのにたいして,役(え)は労力によるものであり,両者を含めて〈課役(えつき)〉といった。この役(え)と役(やく)の関連(いずれも漢音)は不明だが,平安時代以降は,役(やく)の用例が多く,その範囲も公用の夫役ばかりでなく,支配-被支配の関係を含まない一般的な役割,役目を意味する言葉としても用いられている。芸能における〈役〉〈役者〉はその例だが,同時に,課役を意味する役も〈国役(こくやく)〉のように存続しており,併せて公共性のありかたを示唆する言葉として興味深い。近世幕藩体制は,〈役〉の編制をもって支配統治の機構としたといわれ,大名・武士の家,町や村,宗門の組織,商人,町人,職人の集団まで,役を務めているかどうかが,ある集団の一人前の成員として認められるかどうかの決め手となっていた。
執筆者:山田 武
俳優が舞台で演じる登場人物を役という。役を演じる俳優は役者とも呼ばれる。役者は古くは祭祀の際などに,ある役目をする人,役人の意に用いられたが,祭りを母体として発展した日本の芸能では,神に芸能を奉仕する役の者として,役者と呼ぶようになった。役者の語が芸能用語として使われるのは中世ころからと思われる。役を冠した語には,役の機能を示す〈役まわり〉,俳優に役を割りあてる〈配役〉〈役割〉,役柄などがある。また登場人物は立役(たちやく),敵役,子役などと分類する。能ではシテ方以外のワキ方,囃子方,狂言方を三役と称する。
執筆者:三浦 広子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中世~近世の人身的労役賦課および奉仕の総称。労役の内容から軍役・陣夫役・人足役・伝馬役,労役の担い手から大名役・侍役・百姓役・町人役・職人役,負担の枠組・単位から国役(一国平均役)・郡役・所役・村役・町役,負担の基準から軒役・高役などの用例があげられる。当該社会の主要な構成員は,所属する社会集団を介して役を負担しつつ,社会の中に身分として公的に位置づけられたが,役はこうした位置およびそれに付随する職務(役務)などをも同時に含意することになる。この用例としては,役人・役所・役割などがある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…〈かやく〉ともいう。課は割り当てて徴収する,役は労役に徴発する意味の動詞,名詞で,これを組み合わせて公課の主体を指称した。その内容は租(丁あたり粟2石)と調(丁あたり絹2丈,あるいは麻布2丈5尺,それに付属物として絹糸,綿(まわた)あるいは麻糸が加わる)および役(年間20日間の力役,中央政府が徴発し主都の建設,土木工事等に使われる)の3種よりなる。…
…〈かやく〉ともいう。課は割り当てて徴収する,役は労役に徴発する意味の動詞,名詞で,これを組み合わせて公課の主体を指称した。その内容は租(丁あたり粟2石)と調(丁あたり絹2丈,あるいは麻布2丈5尺,それに付属物として絹糸,綿(まわた)あるいは麻糸が加わる)および役(年間20日間の力役,中央政府が徴発し主都の建設,土木工事等に使われる)の3種よりなる。…
※「役」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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