役高(読み)やくだか

精選版 日本国語大辞典 「役高」の意味・読み・例文・類語

やく‐だか【役高】

〘名〙
江戸時代役職の高下に応じて支給される一定祿高。職務手当として家祿ほかに支給されるもの。役扶持(やくぶち)の額。
② 江戸時代、永高(えいだか)を用いていた地方での石高(こくだか)に相当する課税基準。永高一貫文を高五石替えにして諸掛物を徴し、後には年貢も賦課された。〔地方凡例録(1794)〕

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デジタル大辞泉 「役高」の意味・読み・例文・類語

やく‐だか【役高】

江戸時代、役職の高低段階に応じて支給された俸禄

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改訂新版 世界大百科事典 「役高」の意味・わかりやすい解説

役高 (やくだか)

日本近世において,大名以下に賦課される軍役普請役の量は石高を規準として定められたが,これを役高という。領知知行高がすなわち役高である場合と,これとは別に設定される場合とがあった。この役高に応じ扶持米ふちまい)や合力米が支給された。例えば1681年(天和1)越後高田城の請取役を命じられた表高(領知朱印高)10万石の越中富山藩主前田正甫(まさとし)は7万石の役高で勤めるよう指示され,105人分の扶持米を受け取っている。また毎年交代で大坂城を守衛する大坂加番役の場合,はじめは大名の領知高に応じて役高が決められていたが,1746年(延享3)に四つの部署ごとに役高が定められ,合計6万5000石に固定された。加番大名には役高の四つ物成(よつものなり)(4割)の合力米が支給されていた。このほか足高(たしだか)制における各役職の基準石高を役高ということもあり,また永高えいだか)を用いていた遠江三河の一部地域では,永1貫文を5石とする諸掛物(しよかかりもの)の賦課基準を役高と称した。
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百科事典マイペディア 「役高」の意味・わかりやすい解説

役高【やくだか】

(1)江戸幕府俸禄制度で職務手当としての禄高,各役職の基準石高。役高に応じて扶持(ふち)米や合力米が支給された。享保(きょうほう)改革では,財政負担の軽減・人材登用などのため足高(たしだか)の制がとられた。(2)諸身分に応じて課された役掛り石高,勤め高。大名・武士の軍役・普請役などの役高は,領地・知行高である場合と,これとは別に設定されることがあった。また百姓役の助郷(すけごう)役掛高は村高とは別に設定されることが多かった。
→関連項目大坂町奉行山田奉行

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