精選版 日本国語大辞典 「強迫」の意味・読み・例文・類語
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違法に害悪を告知して、他人に恐怖心または畏怖(いふ)心を生じさせること。私法上は、強迫による意思表示は、詐欺の場合と同様、これを取り消すことができる(民法96条1項)ほか、不法行為として損害賠償の請求も可能である(同法709条)。なお、この場合には、詐欺の場合と異なり、その取消しは善意の第三者にも対抗できる(同法96条3項の反対解釈)。
刑法では、「脅迫」という用語が用いられる。刑法で用いられる脅迫には次のような3種類がある。広義では、恐怖心・畏怖心を生じさせる目的で害悪を告知するすべての場合(刑法95条の公務執行妨害罪、106条の騒乱罪)を含む。狭義では、告知される害悪の種類が特定され相手に一定の作為または不作為を強制する場合(同法222条の脅迫罪、223条の強要罪)である。最狭義では、相手の反抗を抑圧したり、著しく困難にする程度の恐怖心・畏怖心を生じさせる場合(同法177条前段の強制性交等罪、236条の強盗罪)である。
[名和鐵郎 2018年1月19日]
民法上,故意に人を畏怖させ,その自由な意思決定を妨げる行為をいう。ローマ法でも,自由な意思によることが契約,婚姻などの基本的要素となるとされていた。たとえば,他人から強迫されて契約した者は,引き渡した物の返還を請求したり,損害賠償を請求したりすることが認められていた。その後,強迫を不法行為として考えることから契約の取消事由と考える方向に変化してきた。このような考え方が多くの国の民法に受け継がれている。日本民法では,強迫は次のような法律効果を生ずる。第1に,他人に強迫されたために意思表示をした者はその意思表示を取り消せる(96条)。その要件は,強迫が故意によるものであること,強迫と意思表示の間に因果関係のあること,強迫が目的と手段からみて違法な行為であること,の三つである。第2に,他人に強迫されたために婚姻をした者はその婚姻を取り消せる(747条)。第3に,強迫行為によって損害を受けた者は強迫者に損害賠償を請求できる(709条)。なお,強迫は刑法上脅迫罪を構成することがある。
執筆者:野村 豊弘
心理学で,当の人格にとっては無意味,無縁ないしは非合理と判断される思考(例えば火の元を始末したにもかかわらず火がついているのではないかとの懸念),欲動あるいは行動(例えば火の元をたしかめるために何度も外出先から家にひきかえす)が支配的となることを指す。英米ではobsessionという場合には,おもに強迫思考を,compulsionという場合には強迫欲動ならびに強迫行為を指している。強迫的な意識内容について批判力をもっていることが強迫現象の重要な目印とされているが,強迫現象が高度な場合には,強迫内容の非合理性に対する洞察が完ぺきではなく,半信半疑である場合も少なくない。強迫は,一過性には健康人にもみられるが,強迫神経症において典型的にみられるほか,統合失調症,躁うつ病,てんかん,脳器質性疾患の際にも出現する。
執筆者:下坂 幸三
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