張紙値段(読み)はりがみねだん

改訂新版 世界大百科事典 「張紙値段」の意味・わかりやすい解説

張紙値段 (はりがみねだん)

江戸時代旗本御家人俸禄米を金で支給する際の公定換算値段。幕府直臣のうち万石以下のものは,地方知行(じかたちぎよう)と蔵米(くらまい)知行に分けられるが,後者蔵奉行から俸禄米を,春(2月)1/4,夏(5月)1/4,冬(10月)1/2と3期に分けて支給された。全部を現米で支給することもあるが,通常は一部を金に代えて支給した。その換算相場を支払のつど,江戸城内の中ノ口に張紙したところから,この名があり,値段の表示は米100俵(35石)当りの金額で行われた。この相場は江戸市中米価に準拠しているが,財政・米価・旗本救済などの諸点をも考慮して決定された。年貢石代納(こくだいのう)の換算値段は,一般に近在の米市場の相場を基準にするが,関東と甲州の一部の幕領では,張紙値段に一定の増値段を加えて使用している。
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百科事典マイペディア 「張紙値段」の意味・わかりやすい解説

張紙値段【はりがみねだん】

江戸幕府の公定米価。正月,4月,9月に江戸城内の中ノ口(なかくち)に奉書の形で張紙されたのでこの称がある。旗本御家人の俸禄の換算率となるが,実際の米価とは違っていた。一部の地方では年貢石代納(こくだいのう)の換算値段としても一定の増値段を加えて用いられた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「張紙値段」の解説

張紙値段
はりがみねだん

張紙直段とも。江戸時代,旗本・御家人に支給する切米100俵(35石)の値段(単位は両)。年3回の蔵米支給時期に,支給米金の割合と一緒に,江戸城内の中ノ口に張り出されたところからこうよぶ。市中の米相場を調査のうえ米価の調節などの意図をもって評定所が決定したので,幕府の公定米価のような性格をもつようになった。なお地方の幕領では年貢米の石代相場に使う場合もあった。

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世界大百科事典(旧版)内の張紙値段の言及

【コメツキムシ(米搗虫∥叩頭虫)】より

…胸脚を有し,腹部末端に1対の尾突起をもつものと欠くものとがある。土壌に生息するものはハリガネムシと呼ばれ,英名もwirewormである。農作物の根や塊茎を食するため害虫として扱われているが,コメツキムシ科の幼虫の多くは肉食性で土壌中や朽木中で昆虫などの小動物を捕食する。…

【トビイロムナボソコメツキ】より

…7~8月ころ,土壌中に蛹室(ようしつ)をつくって蛹化,羽化した新成虫はそのまま越冬し,翌春になって出現する。ムナボソコメツキ類,カバイロコメツキ類,クシコメツキ類などの幼虫はハリガネムシと呼ばれ土壌中に生息し,ムギをはじめ各種の農作物の根を食害するが,トビイロムナボソコメツキは,その代表種である。【林 長閑】。…

※「張紙値段」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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