張本(読み)ちょうほん

精選版 日本国語大辞典 「張本」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐ほん チャウ‥【張本】

〘名〙 (古くは「ちょうぼん」)
文章で、後に書く事柄伏線として前もって書いておく事柄。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
史記抄(1477)三「以前に子出子生と書たは、後に逐出たほどに其ための張本なり」 〔春秋左伝注‐隠公五年〕
② あとになって起こることに備えて、前もって準備しておくこと。あらかじめ後の素地を築いておくこと。
※本朝文粋(1060頃)一三・為仁康上人修五時講願文〈大江匡衡〉「皆以今日之善根、将来世之張本
悪事のたくらみや事件を起こすなどのもとになること。また、その人。首謀張本人
※中右記‐天仁元年(1108)九月一九日「互召下手人其誡。又尋張本輩追却
※天草本平家(1592)一「カイゾクノ chǒbon(チャウボン) サンジュウニンアマリ」 〔建炎以来朝野雑記甲集‐財賦・東南折帛銭〕

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デジタル大辞泉 「張本」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐ほん〔チヤウ‐〕【張本】

《古くは「ちょうぼん」》
事の起こり。原因。特に、悪事のもととなること。また、その人。張本人。
「弱い者いじめの―で」〈中勘助銀の匙
あとでの出来事に備えて、前もって準備しておくこと。

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普及版 字通 「張本」の読み・字形・画数・意味

【張本】ちよう(ちやう)ほん

事の起こり。のちの展開を叙述するため、伏線を設けること。〔左伝、隠五年、杜預注〕晉、相ひ攻伐するも、亂をげず。故に書せず。傳、其の事をして、後の晉事の張本と爲す。

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