張春橋(読み)ちょうしゅんきょう(英語表記)Zhang Chun-qiao

日本大百科全書(ニッポニカ) 「張春橋」の意味・わかりやすい解説

張春橋
ちょうしゅんきょう / チャンチュンチヤオ
(1917/1918―2005)

中国の政治家山東(さんとう)省巨野県生まれ。1936年上海(シャンハイ)文芸家協会員。1943年中国共産党解放区で宣伝活動。1954年上海『解放日報』社長。1956年上海の党有力者、柯慶施(かけいし)のもとで上海党委員会文芸工作部長。1963年上海党宣伝部長。1966年上海党第一書記、党中央文革副小組長。1967年造反派の王洪文(おうこうぶん)らといわゆる上海コミューン樹立、上海革命委員会主任。1969年政治局員。1973年政治局常務委員。1975年副首相、軍総政治部主任。論文ブルジョアへの全面独裁」を発表するなど文革派の旗手として活躍したが、1976年10月「四人組」の一人として逮捕。1980年反革命集団裁判にかけられるが黙秘を貫く。1981年死刑判決。1983年無期懲役、1997年懲役18年に減刑

[高市恵之助・渋谷 司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「張春橋」の意味・わかりやすい解説

張春橋
ちょうしゅんきょう
Zhang Chun-qiao

[生]1918. 山東,巨野
[没]2005.4.21. 上海
中国の政治家。 1936年上海で革命活動を始め,1949年上海解放後,上海『解放日報』副社長となった。 1955年中国共産党上海市委員会文芸工作部長。 1959年党上海市委員会常務委員兼宣伝部副部長。 1963年同宣伝部長。文化大革命の際,毛沢東の指示で京劇『海瑞罷官』批判の姚文元論文の発表を指導した。 1966年中央文革小組副組長となり,上海の奪権闘争を指導。 1967年2月上海市革命委員会主任,1969年4月九全大会で党中央委員会政治局委員に選出され,1971年1月上海市党委員会第一書記に就任。文革以後党の中枢地位にのし上がり,1973年8月十全大会で党中央委員会政治局常務委員に選ばれた。 1976年 10月四人組の一人として逮捕され,1977年7月 10期三中全会で反党集団の一人,国民党の特務とされて党籍を永久に剥奪され,党内外のすべての職務を解任された。林彪・江青反革命集団裁判で,1981年1月死刑判決 (執行猶予2年) を受けた。 1983年1月に無期刑に,1997年 12月に懲役 18年と 10年間の政治的権利剥奪に減刑された。

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百科事典マイペディア 「張春橋」の意味・わかりやすい解説

張春橋【ちょうしゅんきょう】

中国の政治家。山東省出身。1938年に中国共産党に入党。1966年には党文化革命小組副組長となって文化大革命を主導した。1969年に党中央委員,1973年に党政治局常務委員会委員に選出され,1975年には副首相となった。しかし,1976年に江青(こうせい)/(チャンチン)らとともに反革命〈四人組〉として逮捕され,1977年にスパイとして党籍と全職務を剥奪(はくだつ)された。1981年に死刑判決を受けたが,1983年に無期懲役となり,さらに1997年には懲役18年に減刑され,1998年に病気によって保釈された。

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世界大百科事典(旧版)内の張春橋の言及

【中華人民共和国】より

…前者には毛沢東という切り札があったが,人材に欠けるという弱点があり,後者は逆に実務能力で優位に立ったが,修正主義者のレッテルをはられるとひとたまりもない時代の空気で,両者はともに決定力に欠けた。文革派の中では,毛沢東暗殺のクーデタに失敗してジェット機でソ連への逃亡をはかり,モンゴルで墜死したとされる林彪の失脚(1971年9月13日)以後は,江青,張春橋,姚文元(ようぶんげん),王洪文の上海グループ(のちのいわゆる〈四人組〉)が党中央政治局に根を張った。実務派官僚の代表は一貫して周恩来であった。…

【文化大革命】より


[第3期]
 67年に入ると,実権派の手から権力を奪う〈奪権〉が始まった。その典型となった上海の〈1月のあらし〉の中で,張春橋らは,パリ・コミューンに範をとって〈上海コミューン〉を創出しようとした。しかし,常備軍の廃止をもたらすこの構想は,人民解放軍の抵抗にあって流産し,軍代表・革命幹部・革命大衆の〈三結合〉による〈革命委員会〉へと後退させられた。…

※「張春橋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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