精選版 日本国語大辞典 「引導」の意味・読み・例文・類語
いん‐どう ‥ダウ【引導】
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先に立って導くことをいうが,仏教用語としては,迷っている者たちを悟りの世界へ導くことを意味し,さらに転化して,死者を浄土(仏の国土)へ導き入れる儀式をさすようになった。葬式における引導の仕方は仏教諸宗派によってさまざまであって一定していない。葬式を中心になって行う導師が棺前において,諸行無常(人生のすべてのことは必ず変化する)の理(ことわり)と,必ず仏の救いにあずかることを説いて,死者にこの世との縁を切らせることを引導をわたすという。日本においていつごろから引導の儀礼が行われるようになったかは明らかでないが,引導の語は平安朝期には用いられている。死者をしてこの世との縁を切らせるところから,相手との縁を切ること,つながりをあきらめさせることを,俗に引導をわたすと言うようになった。
執筆者:井ノ口 泰淳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
誘引開導の意で、本来は人を正しい道、仏道に導き入れることをいうが、転じて、死者を彼岸(ひがん)に導き済度(さいど)する葬儀の儀礼をいう。日本仏教では、真宗を除く各宗派でそれぞれ異なる引導の方法があるが、禅宗では法要を主宰する導師が柩(ひつぎ)の前で、引導法語とよばれる法語、偈頌(げじゅ)などを唱え、「喝(かつ)」などと大声を発する独特の儀式がある。これは中国唐代中期の禅僧黄檗希運(おうばくきうん)が溺死(できし)した母のために法語を唱え、荼毘(だび)の火を投じたことに由来するといわれる。
[石川力山]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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