引分(読み)ひきわけ

精選版 日本国語大辞典 「引分」の意味・読み・例文・類語

ひき‐わけ【引分】

〘名〙
① 引き離すこと。半分に分けること。
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「イチマイ fiquivaqe(ヒキワケ)
勝負事で、勝ち負けがつかないとき、そのまま中止すること。勝負がつかないのでやめること。
狂歌新撰狂歌集(17C前)下「茶うす山引わけになるあつかひは京極どのの袋ぢゃときく」
③ 古代・中世、陰暦八月の駒牽(こまひき)に各地の牧から奉られる馬を廷臣に給付する際、特に使者を立てて上皇皇太子、摂政関白などに分け与えること。また、その使者。
※権記‐長保三年(1001)八月一六日「而召近衛之後引分」
比喩を使っていうこと。〔俚言集覧(1797頃)〕

ひき‐わ・ける【引分】

[1] 〘他カ下一〙 ひきわ・く 〘他カ下二〙
① 引き離して別々にする。分ける。引き離す。
今昔(1120頃か)二六「此介殿の御財を、引分る方无く、我君に令伝たらば、和主の世にてこそは有め」
② 勝負事で、勝負がつかないとき途中でやめさせて勝ち負けなしにする。
江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉七「白刃の上へ一張羅の羽織をからめて双方引別(ヒキワ)けて此喧嘩を預った」
[2] 〘自カ下一〙 ひきわ・く 〘自カ下二〙 今まで従っていたものからはなれそむく。離反する。反対する。
※園太暦‐貞和元年(1345)四月二六日「今度宇治遷坐、大乗院門跡引分之由申之」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「引分」の読み・字形・画数・意味

【引分】いんぶん

引決。

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