延米(読み)のべまい

精選版 日本国語大辞典 「延米」の意味・読み・例文・類語

のべ‐まい【延米】

〘名〙
江戸時代の正租の付加税年貢米目減りを防ぐため、その分を見積もって付加されたもので、延石(のべこく)出目米(でめまい)ともいう。たとえば、米一俵は三斗五升入りと決められていたが、実際には三斗七升入れた。この余米の二升をいう。
地方凡例録(1794)四「三斗五升に二升の延米を加へ、三斗七升いり、七升目を山計にして収む
浮世草子・風流曲三味線(1706)三「日には百度もかけ広庭には延米(ノベマイ)をかりて積かさぬ」

のべ‐ごめ【延米】

〘名〙
代金の支払いを後日にのばす約束で買い込んでおく米。利息などを見込むため時価よりも高い米価となるが、これを他に転売して急場入費に当てるために行なわれた。通常年末に借りて、翌年三月に支払いをした。のべまい。
※浮世草子・椀久一世(1685)下「広庭には延米(ノベゴメ)を借りて積重ね」

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デジタル大辞泉 「延米」の意味・読み・例文・類語

のべ‐まい【延米】

出目米でめまい

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改訂新版 世界大百科事典 「延米」の意味・わかりやすい解説

延米 (のべまい)

江戸時代,年貢米に対する付加税の一種。出目米(でめまい)ともいう。年貢米を俵詰めするとき,目減りを考慮して一定割合で付加した米。古来は目減りを防ぐため升に山盛りして納めていたが,1616年(元和2)幕府は1俵に3斗5升の年貢米に対し,3斗7升詰めとすることを定めたが,この差2升を延米という。この制は関東幕領で広く行われたが,地域によって俵詰めの量,延米の量には異同がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「延米」の意味・わかりやすい解説

延米
のべまい

江戸時代の付加税の一種。延石(のべこく)、出目米(でめまい)ともいう。関東を中心に当初、年貢米は枡(ます)に山盛りにして納めていたが、1616年(元和2)に山盛りの分を斗掻(とか)きによって掻き落とし、そのかわりに三斗五升の俵に二升を加えて三斗七升として納入した。この二升を延米とよび、この制度を三七の延(のべ)といい、関東・東海地方では本石斗立(ほんこくはかりだて)ともいった。地方によって四六の延など延米の割合も異なり、高崎藩領での一石に四斗六升の例もある。維新後も旧慣として続いたが、地租改正によって消滅した。

[吉永 昭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「延米」の意味・わかりやすい解説

延米
のべまい

江戸時代,田租に対する付加税の一つ。年貢米運搬の際の目減りをあらかじめ補うもので,3斗5升詰め1俵につき2升という例が多い。 (→欠米〈かんまい〉 , 口米・口永〈くちまいくちえい〉 )

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