廃県置州(読み)はいけんちしゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「廃県置州」の意味・わかりやすい解説

廃県置州
はいけんちしゅう

現在の 47府県制度を廃止し,新たに8つの州を置こうという構想。日本青年会議所が地方分権を目指す運動の中で,生活圏の広域化を踏まえた新たな広域自治制度として提唱している (『変えてしまえ・日本』 1990年) 。徒歩,馬,船が交通手段であった明治の廃藩置県 (1872年) 以来の現行制度は,現代の都市問題や地域開発に対する応答能力を失っているという認識が基礎を成す。これは,日本の 100年続く内政中心の「強い中央・弱い地方」という集権構造を「外交の中央・内政の地方」に役割分担し,分権構造の連邦国家として課税権や立法権,行政権を持つ強い「州」を地方行政の核にしようという提案である。この考えは,身近な政府に権限財源を移譲し,政治レベルの民主化の上に地域の創意工夫で地域づくりを目指そうということから,従来の経済効率主義に傾く府県合併,道州制論とは一線を画す。 21世紀への府県改革論議として注目される。

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