康(漢字)

普及版 字通 「康(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(異体字)
16画

[字音] コウ(カウ
[字訓] やすらか

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
庚(こう)+米。庚は午(杵(きね))を両手でもつ形。康は脱穀精白の意で、・糠は康に従う。〔説文〕七上に「の皮なり」とし、その条に重文として康を録し、「、或いは省して作る」とするが、康によって・糠がえられるのである。金文に「康右(佑)」「康靜」などの語があり、また〔毛公鼎〕に「四國を康んじ能(をさ)む」とあって、安康の意に用いる。金文に字をまたに作り、もと中の儀礼を示すようである。中で行われる農耕儀礼によって、康佑がえられるとするのが、字の原義であろう。〔詩、唐風、蟋蟀〕に「已(はなは)だ大いに康(たの)しむこと無(なか)れ」とあって、康楽の意にも用いる。

[訓義]
1. やすらか、やすんずる、神に精米をささげ神意を安んずる意であろう。
2. やわらぐ、たのしむ、したしむ、ふける。
3. 広と通じ、さかん、ひろい、大きい。
4. と通じ、もみがら、むなしい、みのりがない。
5. 五達の道。

[古辞書の訓]
名義抄〕康 ヤスシ・ヤムス・コハシ・ヨシ・シヅカナリ・タフトブ・ムナシ・タノシビ・ミチ・タシナム

[声系]
〔説文〕に康をの省文とし、など三字を康声の字とする。は〔説文〕七下に「屋、たるなり」、次条に「なり」とあり、また〔方言、十三〕に「なり」とあって、とは空虚のさまをいう語のようである。はおそらく金文のと同字であろうが、それならば康の異文とみてよい。畳韻の形況の語。声系よりいえば庚keang、康khangは声近く、ともに穀の精白に関する字である。また廣(広)kuangは声近く、通用することがある。

[熟語]
康歌康乂康逵康彊康衢・康康娯・康国・康済康哉・康時・康日康爵・康順・康勝・康盛康靖・康荘・康泰・康適・康塗康寧康年康阜・康復康平・康康裕・康楽
[下接語]
安康・悦康・康・凱康・歓康・吉康・恵康・健康・寿康・小康・靖康・太康・治康・寧康・富康・平康・民康・楽康

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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