庶(漢字)

普及版 字通 「庶(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] ショ
[字訓] おおい・もろもろ・ねがう

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
广(げん)+廿(じゆう)+火。〔説文〕九下に「屋下の衆なり。广に從ふ。は古の光字なり」とし、徐鉉は「光も亦た衆なり」と補説している。衆庶の意とするものである。广は廚房(ちゆうぼう)、廿は鍋など烹炊(ほうすい)の器の形。鍋の下に火を加え、烹炊を原義とする字。(煮)はその形声字である。(者)は中に呪符として埋めた書であるから、これは煮るべきものではない。また庶は煮る意の字であるが、それを諸の意に用い、庶人・衆庶のようにいう。〔儀礼〕に正饌(せいせん)に対して盛り合わせたものを庶羞(しよしゆう)といい、庶はもと炊き合わせたものをいう。それで庶多の意となり、衆庶の意となり、嫡庶の意となる。庶幾は、それに近い状態をねがうことをいう。

[訓義]
1. 煮る、ごった煮。
2. おおい、もろもろ、ゆたか。
3. 庶羞はそえ膳、正嫡ならざるもの、庶子、分家支族、多くの人、身。
4. 庶幾、ねがう、こいねがう、こいねがわくは。

[古辞書の訓]
名義抄〕庶 ネガフ・スフ・サイハヒ・モロモロ・コヒネガフ・コヒネガハクハ 〔字鏡集〕庶 コヒネガハクハ・ヨロコビ・アラシ・サイハヒ・チカ(シ)・ネガフ・スフ・モロモロ・イヤシ

[声系]
〔説文〕に庶声として(遮)・蹠など四字を収める。は〔説文〕二下に「遏(とど)むるなり」と訓するが、それは塞する意で、もとの声義に含まれるべきものであり、庶声にその義を求めがたいものである。これも庶・の声の互易する例である。

[語系]
庶sjiakとtjya、(諸)tjiaは声近くして通用し、庶多は諸多の意。庶は膳羞の多いことをいい、は呪符・祝の多いことを原義とする。

[熟語]
庶位庶彙庶尹庶殷庶衍・庶官・庶幾・庶・庶姫庶揆・庶旧・庶兄・庶・庶言庶乎庶功・庶幸・庶国庶獄・庶士庶侈・庶事・庶羞・庶心・庶神・庶人・庶政・庶正・庶生庶績庶徴・庶物・庶方庶邦庶萌庶望・庶民庶務・庶尤・庶流・庶僚・庶類・庶黎・庶老
[下接語]
殷庶・億庶・幾庶・黔庶・士庶・支庶・衆庶・烝庶・蒸庶・臣庶・嫡庶・兆庶・長庶・繁庶・万庶・卑庶・鄙庶・品庶・富庶・凡庶・民庶・黎庶

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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