庵主(読み)アンジュ

デジタル大辞泉 「庵主」の意味・読み・例文・類語

あん‐じゅ【×庵主】

古くは「あんしゅ」とも》
庵室主人
僧で庵室を構えている者。特に、尼寺の主である尼僧
茶の湯で、草庵茶室の主人。

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精選版 日本国語大辞典 「庵主」の意味・読み・例文・類語

あん‐じゅ【庵主】

〘名〙 (後世は「あんしゅ」)
① 庵室の主人。
※俳諧・炭俵(1694)序「この二三子庵に侍て火桶にけし炭をおこす。菴主これに口をほどけ」
② 仏道修行のために造られた庵室の主の僧。また、特に、尼寺の主である尼僧の呼び名。あんじゅう。あんず。
※参天台五台山記(1072‐73)一「庵主印成闍梨知事共出来点茶」
黄表紙・敵討義女英(1795)下「髪をおろして姿をかへんと、かねてあんしゅ一音とふかく約束せり」
③ 特に、茶道で、草庵の茶室の主人をさす。

あん‐ず【庵主】

※天正本節用集(1590)「菴主 アンズ」

あん‐しゅ【庵主】

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百科事典マイペディア 「庵主」の意味・わかりやすい解説

庵主【いおぬし】

平安中期の僧,増基の家集。《いほぬし》または《増基法師集》。古くは《庵主日記》,《庵主集》とも称された。〈庵主〉とは草庵生活をしていた増基法師の通称。〈熊野紀行〉〈雑纂歌集部〉〈遠江紀行〉の3部から成り,紀行を多く含む点を特徴とする。増基は後の能因,西行ら,旅に生きた歌僧先駆として注目される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「庵主」の意味・わかりやすい解説

庵主
いおぬし

平安時代中期の紀行。増基法師著。1冊。熊野紀行,歌集,遠江紀行から成る歌日記的な紀行。没後の編か。増基は 10世紀後半の人で庵主と称し,『玄々集』 (能因撰) および『後拾遺集以下勅撰集に入集した歌僧。

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