府中(市)(広島県)(読み)ふちゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「府中(市)(広島県)」の意味・わかりやすい解説

府中(市)(広島県)
ふちゅう

広島県南東部にある市。1954年(昭和29)芦品(あしな)郡府中町と広谷(ひろたに)、岩谷(いわたに)、国府(こくふ)、栗生(くりぶ)、下川辺(しもかわべ)の5村が合併して市制施行。1956年御調(みつぎ)郡諸田(もろた)村、芦品郡河佐(かわさ)村を編入、1975年協和(きょうわ)村を編入、2004年(平成16)上下町(じょうげちょう)を編入。JR福塩線、国道432号、486号が通じ、市域南部を芦田川が流れる。古代備後(びんご)国府が置かれた地と推定されている。江戸時代は福山藩領、広島藩領に分かれる。芦品郡の中心地であったため、県の出先機関などがあるが、福山市の衛星都市的性格が強く、桜が丘などの住宅団地や工業団地の造成が行われた。鉄鋼、機械、紡績、縫製工業などがあり、備後工業整備特別地域の拠点の一つとなった。一方、備後絣(かすり)、たんす、桐箱(きりばこ)、琴などの製造やみそ造りなどの伝統産業も盛んである。市内には七ッ池や芦田川上流の河佐峡、三郎の滝、矢野温泉、周氷河期地形で国指定天然記念物「久井(くい)・矢野の岩海(がんかい)」などの観光地がある。面積195.75平方キロメートル、人口3万7655(2020)。

[北川建次]

『『府中市史』全3冊(1986~1988・府中市)』


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