底魚(読み)そこうお(英語表記)benthic fish

精選版 日本国語大辞典 「底魚」の意味・読み・例文・類語

そこ‐うお ‥うを【底魚】

〘名〙 主に海底の砂泥中や海底近くに棲息するさかな。タイ類、カレイ類、タラ類、ハモアンコウなど。しずみうお。そこもの。⇔浮魚(うきうお)

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デジタル大辞泉 「底魚」の意味・読み・例文・類語

そこ‐うお〔‐うを〕【底魚】

海底近く、または海底の砂泥中にすむ魚。ヒラメ・アンコウなど。⇔浮きうお

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「底魚」の意味・わかりやすい解説

底魚
そこうお
benthic fish
demersal fish

海洋の下層または海底をおもな生活の場とする魚類の総称。表層魚または浮き魚に対して用いられる語で、底生魚ともいう。ホシザメ、アブラツノザメ、ある種のアナゴ類、エソ類、タイ類、アマダイ類、タチウオ、ニベ・グチ類、タラ類、ホウボウ類、ヒラメ・カレイ類、アンコウ類などが代表的な種類である。底魚は体が扁平(へんぺい)もしくは丸いものが多く、典型的な紡錘形は少ない。体色は赤色、褐色、黒色または黄色みを帯び、浮き魚のように青緑色のものは少ない。

 底魚は、底生性の小魚、エビ・カニ類、貝類、多毛類(ゴカイ、イソメなど)、棘皮(きょくひ)類(ウニヒトデなど)などを食べる。比較的運動力のある餌(えさ)を食べる底魚は、口が大きく、歯が発達している。しかし、多毛類を主食とするものでは、口が小さくて歯も退化し、腸が長い。たとえば魚食性のヒラメ、カラスガレイアブラガレイなどは大口であるのに対し、おもに多毛類を食べるマコガレイメイタガレイヤナギムシガレイなどは小口である。一般に底魚は定着性で遊泳速度が遅く、大きな回遊はしない。しかし、マダイ、アブラツノザメ、タラ類、ヒラメなど大形の底魚は、産卵越冬のために比較的大きい海域を回遊する。たとえば、東シナ海のマダイは越冬のため3か月で直線距離にして約400キロメートルも移動する。

 底魚は底引網、定置網、釣りなどによって漁獲される。肉は白身で味が淡泊であり、刺身、鍋(なべ)物、練り製品の材料とする。なお底魚漁場の開発と利用などを目的に、一般社団法人日本トロール底魚協会(JOFA:Japan Overseas Fishing Association)が設立されている。

[落合 明・尼岡邦夫]

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百科事典マイペディア 「底魚」の意味・わかりやすい解説

底魚【そこうお】

水産用語で,浮魚(うきうお)の対。成魚が,海底かその付近にすむ魚類。主として海産魚についていう。カレイヒラメコチカナガシラ類が典型的で,体の形,鰭(ひれ)の構造などが底生(ていせい)生活に適応していると考えられる。一般に遊泳速度がおそく,多くの浮魚に見られるような大きい回遊はしない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「底魚」の意味・わかりやすい解説

底魚
そこうお
bottom fish; demersal fish

海底に生活する魚類。浮魚に対する語。カレイ類が代表的であるが,ほかにコチ,アンコウ,オニオコゼ類などがこれに類する。海底近くまたは海底の砂泥中に体を埋めて生活しているため,一般に体色は底質に似ており,眼は大きく上を向き,鰭は小さく遊泳速度が遅いなどの特徴がある。

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栄養・生化学辞典 「底魚」の解説

底魚

 「そこうお」ともよむ.→底魚(そこうお)

底魚

 海底の砂地や岩礁にすむ魚.タラ,スケトウダラ,オオグチガレイ,カレイなど.

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