底引網漁業(読み)そこびきあみぎょぎょう(英語表記)dragnet fishery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「底引網漁業」の意味・わかりやすい解説

底引網漁業
そこびきあみぎょぎょう
dragnet fishery

海底網漁具 (底引網) を沈め,引航して行う漁業。小型漁船によって沿岸で行われるものから,トロール漁船や機船による遠洋底引網漁業まで広い範囲にわたっている。日本近海では東経 128°30′を境界に以西底引網漁業以東底引網漁業 (沖合底引網漁業ともいい,東経 153°以西) に区分される。以西は主として東シナ海黄海漁場とし,以東は東シナ海,太平洋,日本海,オホーツク海にわたり,漁船の操業形態も異なる。漁場としては海底がなるべく深くなく,障害物のないところが適するが,海底生物を無差別に漁獲するため,小規模な漁業との調整や資源保護上の問題が多い。資源保護の立場から許可漁業とされ,きびしい規制が課されている。

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百科事典マイペディア 「底引網漁業」の意味・わかりやすい解説

底引網漁業【そこびきあみぎょぎょう】

底引網を使って行う漁業の総称。沿岸・近海漁業では漕(こぎ)引網や,手繰(てぐり)網打瀬(うたせ)網,桁(けた)網などの小型機船底引網類,遠洋漁業では各種トロール網が使われる。底引網漁業は,障害物のない浅い漁場を必要とし,北海,メキシコ湾,北米大西洋岸,黄海,東シナ海など大陸棚付近で盛ん。魚種もタイ,ヒラメ,カレイ,タラ,ニシン,サメ,ハモ,イカ,タコ,エビ,カニなど多種にわたる。→以西底引網漁業トロール漁業
→関連項目沿岸漁業北転船

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世界大百科事典 第2版 「底引網漁業」の意味・わかりやすい解説

そこびきあみぎょぎょう【底引網漁業 trawl fishery】

円筒形あるいは円錐形の袋,さらにはこれに両翼をつけた網を,引綱をつけて水中を水平方向に引き,対象生物を囊(ふくろ)網の中に集めて漁獲する漁具引網類という。このうち,いわ(沈子)綱が水底に接して引くものを底引網といい,これを用いて行う漁業を底引網漁業という。これに対して,表層あるいは中層を引くものを浮引網という。しかし,一般に浮魚の方が底魚より遊泳力が強く,垂直移動の幅も大きいので,引網で漁獲することは困難で,そのため浮引網は少なく,引網の多くは底引網である。

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世界大百科事典内の底引網漁業の言及

【トロール漁業】より

…トロール網を用いて行われる底引網漁業。trawlというのは元来は引回し網一般をさす言葉で,トロール網,トロール漁具をさす名詞としても,トロール網を引く,トロール漁業を行うという意味の動詞としても用いられる。したがって,おもにオッターボードotter board(網口を開くための抵抗板)を用いる底引網だけをさす日本での使い方は,原意からは著しく狭いものであることに留意しておく必要がある(なお,底引網については〈底引網漁業〉の項目を参照されたい)。…

【以西底引網漁業】より

…北緯25゜以北,東経128゜30′(北緯33゜9′15″以北では東経128゜)以西の黄海,東シナ海,および北緯10゜以北,東経121゜以西の南シナ海を操業区域とする総トン数15トン以上の船による底引網漁業で,指定漁業の一つ。2艘(そう)で一つの網を引く機船底引網と,オッターボードという網の口を開く装置をつけた網を1艘で引くトロールとがある。…

※「底引網漁業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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