幽か・微か(読み)かすか

精選版 日本国語大辞典 「幽か・微か」の意味・読み・例文・類語

かす‐か【幽か・微か】

〘形動〙
物事の度合が、知覚をはたらかせたり記憶をたぐったりすることによって、かろうじて認められる程度であるさま。
古今(905‐914)仮名序「宇治山の僧喜撰は、ことばかすかにして、はじめ終はり、たしかならず」
源氏(1001‐14頃)夕顔「砧の音も、かすかにこなたかなた聞きわたされ」
平家(13C前)灌頂「壁にそむける残(のこん)の燈の影かすかに」
② 人けがなく物さびしいさま。また、ひっそりとしていて人目につかないさま。
書紀(720)雄略即位前(図書寮本訓)「孟冬の作陰(すす)しき月に寒風(さむきかせ)の粛然(カスカナル)(とき)に」
大和(947‐957頃)二「いとこころぼそうかすかにておはします事を」
③ 勢いのないさま。みすぼらしいさま。貧弱なさま。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「あばれたる所に、かすかなる住ひなどして」
浮世草子傾城禁短気(1711)一「かすかなる前巾着より文銭一文とり出して」

かそ‐か【幽か・微か】

〘形動〙 =かすか(幽━)
※日蓮遺文‐開目抄(1272)「月の山の半を出でたれども薄雲のをほへるがごとくかそかなりしを」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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