(読み)おさない

精選版 日本国語大辞典 「幼」の意味・読み・例文・類語

おさ‐な・い をさ‥【幼】

〘形口〙 をさな・し 〘形ク〙 (「長無(をさな)し」の意)
① 考えが未熟である。おろかである。しっかりした思慮分別がない。
書紀(720)仁徳即位前(前田本訓)「我(おのれ)、不賢(ヲサナシ)と雖も、豈、先(さき)の帝の命(おほむことのり)を棄てて、輙く弟王(いろとのみこ)の願に従はむや」
② いかにも子供子供したさまに見える。子供らしい様子である。子供っぽい。幼稚である。
※土左(935頃)承平五年一月二二日「年九つばかりなる男(を)の童(わらは)、年よりはをさなくぞある」
③ 小さい。幼少である。年齢がごく若い。
※竹取(9C末‐10C初)「まだをさなければ籠(こ)に入れて養ふ」
④ ものごとの達成度が未熟である。未発達である。
人工衛星も現実である(1958)〈荒正人〉「人間の幸福は、技術がまだ幼かった昔の時代に、これを求めることができる」
[補注]シク活用の例も見られる。→おさなし
おさな‐げ
〘形動〙
おさなげ‐さ
〘名〙
おさな‐さ
〘名〙

おさ‐な をさ‥【幼】

[1] (形容詞「おさなし」の語幹)
(イ) 感動詞「あな」を伴ったりして感動文を作り、「幼いことよ」「子供子供していることよ」の意を表わす。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「なににかおぼしいるる。あなおさな」
(ロ) 下に「の」を添えて連体修飾語を作る。幼いこと。幼いさま。
源氏(1001‐14頃)宿木「げにあが君や、をさなの御物言ひやな」
(ハ) 名詞の上に付いて、複合語を作り、「幼いこと、幼い時」の意を添える。「幼遊び」「幼顔」「幼心」「幼友達」「幼馴染
[2] 〘名〙
① 「おさなな(幼名)」の略。
黄表紙江戸生艷気樺焼(1785)上「文の末へおさなを書くよふになると、むづかしいね」
※俳諧・おらが春(1819)「此おさな、仏の守りし給ひけん」

よう エウ【幼】

〘名〙 (形動) おさないとき。また、おさない者やおさないさま。
続日本紀‐養老三年(719)一一月乙卯「神叡法師。幼而卓絶」
歌謡・松の葉(1703)跋「幼(ヨウ)より習はさざりし恨(うらみ)も今更なり」 〔礼記‐曲礼上〕

おさなく をさなく【幼】

〘名〙 (形容詞「おさない」の連用形名詞化したもの) 幼い時。
更級日記(1059頃)「姉なる人、子産みて亡くなりぬ。よその事だに、をさなくより、いみじくあはれと思ひわたるに、ましていはむ方なく、あはれに悲しと思ひ嘆かる」

おさ‐なをさ‥【幼】

〘形シク〙 =おさない(幼)
日葡辞書(1603‐04)「Vosanaxij(ヲサナシイ) コトヲ ユウ」

おさあ・い をさあい【幼】

〘形口〙 「おさない(幼)」の変化した語。
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「三人のをさあひ人どもの、しゃうぞくまでもくだされければ」

おさ‐な・し をさ‥【幼】

〘形ク〙 ⇒おさない(幼)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「幼」の意味・読み・例文・類語

よう〔エウ〕【幼】

おさないこと。また、おさない人。「にして学に親しむ」
[類語]幼少幼弱幼時幼年若齢若年弱小弱冠年少年若としわか年弱としよわヤング若い幼いいとけなうら若い若若しい若やか若やぐ若気ういういしいみずみずしい青臭い溌剌子供らしい青い乳臭い未熟幼稚稚気童心子供っぽい幼心おさなごころ子供心くちばしが黄色い頑是ない子供じみる大人気ない

よう【幼】[漢字項目]

[音]ヨウ(エウ)(慣) [訓]おさない いとけない
学習漢字]6年
まだ年がいかない。おさない。「幼魚幼君幼児幼時幼弱幼少幼稚幼虫幼年
おさない子。「長幼童幼老幼
[名のり]わか

いと【幼】

[名]《近世上方語》幼児。男女の区別なく用いたが、後期には女児をさすようになった。
「お生まれなされた―様(=男児)の」〈浄・布引滝
「向かひのかかや隣の―(=女児)なぞ対手あひてにして」〈滑・浮世風呂・四〉
[接頭]名詞に付いて、おさない、いとけない、の意を表す。
「―姫君二つ三つばかりにておはしませば」〈栄花・初花〉

おさ‐な〔をさ‐〕【幼】

形容詞「幼し」の語幹。

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