幸阿弥派(読み)コウアミハ

デジタル大辞泉 「幸阿弥派」の意味・読み・例文・類語

こうあみ‐は〔カウアミ‐〕【幸×弥派】

室町時代以来の御用蒔絵まきえ師の流派。初代土岐四郎左衛門道長は足利義政近習となり、入道して幸阿弥を名のる。以後、子孫はそれを家名とし、19代まで続いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幸阿弥派」の意味・わかりやすい解説

幸阿弥派
こうあみは

蒔絵師の家系の流派。室町時代から江戸幕府滅亡まで,代々御抱 (おかかえ) 蒔絵師として天皇,将軍,大名の調度を作り,いわゆる「武家のもの」として格式のある華麗で精緻な蒔絵を制作し,その流派は明治に及んだ。初代道長 (1410~78) は足利義政の側近で,のち蒔絵を習って名手となった。2代道清 (33~1500) は後土御門天皇即位の蒔絵調度を制作。5代宗伯 (1484~1557) は後奈良天皇即位の蒔絵調度を作り,『桜山鵲 (さんじゃく) 蒔絵硯箱』 (重文) は代表作。6代長清 (06/29~1603) は正親町 (おおぎまち) 天皇即位の調度を作り,豊臣秀吉より「天下一」の号を授けられた。7代長晏 (1569~1610) は後陽成天皇即位の調度を作り,秀吉,徳川家康・秀忠に仕えた。その弟長玄は古田織部の指導のもとに厨子棚を作り,「織部棚」と呼ばれて流行した。 10代長重 (1599~1651) は寛永7 (30) 年,徳川家光の命で,明正天皇即位の蒔絵調度を制作。同 14年より3ヵ年を費やして尾張の徳川光友の室,千代姫の婚礼調度『初音蒔絵調度類』 (徳川美術館,重文) を作った。 11代長房 (28~83) は徳川家綱の命により霊元天皇の即位調度を制作した。

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