日本大百科全書(ニッポニカ) 「平方根」の意味・わかりやすい解説
平方根
へいほうこん
数aが与えられたとき、二乗(平方)してaとなる数、つまり、x2=aとなる数xをaの平方根という。aが正の数のときは、aの平方根は正の数、負の数それぞれ一つずつあり、その絶対値は等しい。そして、正のほうを、と書く。
は、ルートaと読む。負のほうは、-
で表される。したがって、このとき、aの平方根は、±
とまとめられることになる。たとえば、2の平方根は、
と-
で、±
とまとめられる。この場合、記号
を、根号(または平方根号)という。0の平方根は0だけである。また、負の数の平方根は、実数でなく、虚数である。たとえば-2の平方根は、
iと-
iである(iは虚数単位で、
のこと)。
正の整数の平方根について考える。aが平方数、つまり、ある正の整数nの平方の形n2と書かれる数であるときは、はnに等しい(たとえば
=2)。しかし、aが平方数でないとき、
は有理数になることはけっしてなく、無理数になる。つまり、有限小数や分数で表されることはなく、循環しない無限小数になる(たとえば
=1.41421356……)。正方形の一辺の長さを1とすれば、対角線の長さは
と表されるが、
が無理数であることを古代ギリシア人はすでに知っていた。それは、ユークリッドの『原論』にみられる。
正の数の平方根について考えているとき、根号はつねに正の数を表す。これが根号の規約である。すると、a>0のとき
=aであるが、a<0のときa2>0であって、
=-aとなる。
平方根号の中に平方根が含まれることがある。たとえば、
である。このような場合、一般には、二重の平方根号を外すことはできないが、外すことのできる場合がある。a、bが正の整数、が無理数のとき、
となる正の有理数x、yは、a2-bが有理数の平方の形になるときにだけ存在する。たとえば、
では、22-3=1=12で、
となる。しかし、
の平方根号は、外すことができない。
[三輪辰郎]