平戸和蘭商館跡(読み)ひらどおらんだしょうかんあと

国指定史跡ガイド 「平戸和蘭商館跡」の解説

ひらどおらんだしょうかんあと【平戸和蘭商館跡】


長崎県平戸市崎方町・大久保町にある商館跡。1609年(慶長14)に設置された東アジアにおけるオランダの貿易拠点。33年間存続し、鎖国以前の海外交流を示す重要な存在であることから、1922年(大正11)に国の史跡に指定された。江戸時代初期の日本は積極的に外国との交易を行っており、中国やポルトガルなどの船が長崎に来航。日本が徐々に海外交易の統制(鎖国政策)を強めていくなかで、貿易額は飛躍的に増大し、膨大な量の商品を保管するために大型倉庫の建設に着手した。長さ46m、幅13mの石造り倉庫は、国内初の洋風建造物であり、当時の石垣井戸も現存している。鎖国によって海外渡航やポルトガル船の来航も禁止されると、オランダは(中国を除いて)唯一の交易相手国として日本貿易を一手に担った。しかし、鎖国令余波により築造倉庫の破壊を命じられ、最終的には1641年(寛永18)に長崎出島へと移転させられた。外交史遺跡として貴重なことから、復元されて2011年(平成23)に平戸オランダ商館として開館した。JR佐世保線佐世保駅から西肥バス「平戸桟橋」下車、徒歩約3分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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