平川(読み)ヒラカワ

デジタル大辞泉 「平川」の意味・読み・例文・類語

ひらかわ〔ひらかは〕【平川】

青森県南部にある市。津軽平野部では稲作が、丘陵地ではリンゴ栽培が盛ん。南部には温泉地が多い。平成18年(2006)1月尾上町平賀町碇ヶ関いかりがせき村が合併して成立。人口3.4万(2010)。

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日本歴史地名大系 「平川」の解説

平川
ひらかわ

平川の下流にあった地名。平河とも記す。平川は神田川・日本橋川の旧称で、中世までは現飯田橋いいだばし付近から現一ッ橋ひとつばしを通って日比谷ひびや入江に流入していたと推定される。中世末期ないし近世初期に日本橋より隅田川へ通じる日本橋川が開削され、流路が変えられた。また江戸幕府によって江戸城防備のための外堀構築と城下の水害防止のために、元和六年(一六二〇)から神田山が開削され、現水道すいどう橋・お茶の水を経て現浅草橋に至る神田川が造成されると、飯田橋付近の平川流路は埋立てられ、堀留(菰ヶ淵)として遺存するだけとなった(明治三六年に再び開削され、現日本橋川が復活)

平川
ひらかわ

碇ヶ関いかりがせき村と秋田県境付近の山中に源を発し、遠部沢とおべさわ川・津苅沢つがりさわ(津苅川)大落前おおらくまえ川・小落前こらくまえ川・湯ノ沢ゆのさわ川などを集め、大鰐おおわに山地と矢捨山やすてやま山地の間を流れ、虹貝にじかい川・三ッ目内みっめない川を合せて津軽平野の南端部に出て大和沢おおわさわ川などをも合せ、藤崎ふじさき町で浅瀬石あせいし川と合流し、弘前市三世寺さんぜじで岩木川に入る。延長約四二キロ。

「永禄日記」慶長一六年(一六一一)に平川とみえる。

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改訂新版 世界大百科事典 「平川」の意味・わかりやすい解説

平川[市] (ひらかわ)

青森県中南部の市。2006年1月尾上(おのえ)町,平賀(ひらが)町と碇ヶ関(いかりがせき)村が合体して成立した。人口3万3764(2010)。

平川市南西部の旧村。旧南津軽郡所属。人口3166(2005)。岩木川支流の平川上流の山地を占め,秋田県に接する。中心の碇ヶ関は天文年間(1532-55)に記された《津軽郡中名字》には〈瞋ノ関(いかりのせき)〉とあり,近世に参勤交代の通路として羽州街道が通じてからは津軽藩主の〈御仮屋(おかりや)〉が設けられ,大間越(おおまごし),野内(のない)とともに津軽三関の一つに数えられる番所が置かれた。現在は東北自動車道のインターチェンジがある。村域の9割近くを山林が占め,その大部分は国有林からなり,農業は若干の米とリンゴを産するにすぎない。碇ヶ関,相乗あいのり),湯の沢などの温泉があり,大鰐碇ヶ関温泉郷県立自然公園に指定されている。碇ヶ関温泉(含食塩炭酸鉄泉,47~71℃)には日露戦争や第2次世界大戦中に陸軍の療養所が置かれ,1968年には黎明郷リハビリテーション病院が建設された。三笠山公園には,当地に居住した葛西善蔵の文学碑がある。南北にJR奥羽本線が通る。

平川市北端の旧町。旧南津軽郡所属。人口1万0110(2005)。津軽平野南東部に位置し,町域の大部分は沖積平野からなる。弘前市と黒石市にはさまれ,1927年に弘南鉄道弘前~津軽尾上間が開通してからは弘前市の影響を強く受けるようになった。津軽尾上~黒石間も50年に開通した。東部の山麓を中心にリンゴ栽培が盛んで,平野部は良質米の産地として知られる。80年にはもみ殻を燃料に施設園芸を行う省エネルギー団地がつくられ,蔬菜,花卉の栽培に力を入れている。また苗木,植木の産地としても知られる。蝦夷制圧の途中に倒れた上毛野君田道をまつる猿賀神社は農民の信仰が厚く,旧暦8月15日の大祭はにぎわいをみせる。境内の森はウ,サギの繁殖地として1935年に天然記念物に指定されたが,近年はウ,サギの姿はほとんどみられない。盛美園は明治末に建設された大石武学流の庭園で,名勝に指定されている。

平川市中部の旧町。南津軽郡所属。人口2万2060(2005)。町の西部は津軽平野南東端にあたり,中部から東部一帯は南八甲田連峰や十和田カルデラ外輪山に連なる山地で占められる。開発の古い地域で,鎌倉時代は曾我氏,室町時代には南部氏,近世に入って津軽氏の支配に属した。弘前市と結ぶ弘南鉄道平賀駅前の本町が中心地。平野部では稲作,山麓の緩傾斜地ではリンゴ栽培が盛んで,早くから生産組合,出荷組合が組織されていた。東部山地の善光寺平(ぜんこうじたい),大木平(おおぼくたい),軍馬平(ぐんばたい)などは第2次大戦後の開拓地で,高冷地野菜の栽培を行っている。東端部は十和田八幡平国立公園に属し,十和田湖の外輪山には滝の沢,御鼻部山の展望台があり,浅瀬石(あせいし)川上流域の切明(きりあけ),温川(ぬるかわ)には温泉もある。
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世界大百科事典(旧版)内の平川の言及

【江戸】より


[江戸の都市形成]
 江戸は,1590年に徳川氏の居城地となる以前にすでに小規模ながら城郭と町屋がみられていた。これは文明年間(1469‐87)の太田道灌による江戸築城がなされてからで,平川(ひらかわ)(江戸の中心を北西から南東へ流れていた川。築城のさい,大部分が濠に利用された)河口にも毎日市が開かれていたという。…

※「平川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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