干柿(読み)ホシガキ

デジタル大辞泉 「干柿」の意味・読み・例文・類語

ほし‐がき【干(し)柿/乾し柿】

渋柿の皮をむいて天日で干し、甘くしたもの。干し方により、串柿くしがきつるし柿転柿ころがきなどとよぶ。 秋》

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改訂新版 世界大百科事典 「干柿」の意味・わかりやすい解説

干柿 (ほしがき)

渋柿の皮をむいて日に干したもの。縄や糸につるして干すものと,竹や木の串にさして干すものがあり,前者をつるし柿,後者を串柿と呼ぶ。ころ柿はつるし柿の別名で,《雍州府志》(1684)は,干したものを転がして丸くするので〈転柿(ころがき)〉と呼ぶ,としている。干柿は,日干しによるタンニン細胞の変化で,渋みが直接舌にふれなくなり,かつ糖分濃度が高まるためきわめて甘く,そのため古くから重要な甘味食品であった。《延喜式》には〈干柿子〉と書かれ,神祭の供物や供御などとして用いられていたことが記載されており,その中には,いまの和菓子の祖型ともなった菓餅(かへい)の材料にもされたことが見られる。その〈干柿子〉は〈連〉を単位として数えられていたが,つるし柿か串柿かははっきりしない。ただし,鎌倉末期ころには串柿が盛んに作られていたようで,《春日権現験記》(1309)や《慕帰絵詞(ぼきえことば)》(1351)に見られる干柿はいずれも串柿である。そのまま食べるほか,料理や菓子の材料にもされる。刻んだダイコンニンジンと共におろし酢であえる〈柿なます〉,水あめや砂糖を加え寒天で固めた〈柿ようかん〉等がある。
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百科事典マイペディア 「干柿」の意味・わかりやすい解説

干柿【ほしがき】

渋柿の乾燥品。肉質の細かい柿がよく,やや紅熟して果肉のつぶれないころ皮をむき,南から直射日光の当たらない風通しのよい場所でさらし,渋をぬく。縄や糸につるしたつるし柿と串に刺した串柿がある。ふつうこのまま食べるが,きざんで柿なますにしたり,柿ようかんの材料などにもする。→カキ(柿)
→関連項目ドライフルーツ

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世界大百科事典(旧版)内の干柿の言及

【カキ(柿)】より

…果実を食用にするため広く栽培されるカキノキ科の落葉高木(イラスト)。東アジア温帯に固有。多くの枝を分けて広がった樹冠を作り,楕円形で鋸歯のない大型の葉をつける。高さ5~10m,若枝は灰褐色,古くなると灰黒色となり,多数の縦に走る割れ目が入る。葉は長さ4~17cm,幅4~10cmで厚みがある。初夏,新しい枝の葉のわきに1花をつける。雄花・雌花・両性花があり,株によっては雄株・雌株に見えるものもある。萼は大きく緑色で4裂する。…

【乾燥果実】より

…乾燥によって腐敗や変質を防ぎ,収穫期以外の需要にも応じられるようにした果実。ドライフルーツdry fruitともいう。乾燥果実は生食用にとってかわるのではなく,新たな風味を楽しむのが目的である。日本では干し柿ぐらいであるが,西洋ではブドウ,マルメロ,アンズ,リンゴ,モモ,スモモ,イチジクなどの乾燥果実があり,種類が豊富で早くから大規模に製造され輸出もされている。 乾燥果実の製造にあたっては,まず剝皮を行う。…

※「干柿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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