干上・乾上(読み)ひあがる

精選版 日本国語大辞典 「干上・乾上」の意味・読み・例文・類語

ひ‐あが・る【干上・乾上】

〘自ラ五(四)〙
① すっかり潮がひいてしまう。潮がひききって陸地になる。
太平記(14C後)三六「摂津国難波浦の澳(おき)数百町半時許乾(ヒ)あがりて」
② すっかりかわいてしまう。かわききる。
平家(13C前)九「まへは畠のやうにひあがって、きはめてかたかりけるが」
③ 中にはいるものがなくなる。からっぽになる。生計がたたなくなる意にいう。
浄瑠璃長町女腹切(1712頃)中「年よった此の親が、鼻の下がひやがる」
邦楽の用語。
(イ) 高く出さなければならない声が適当に出ず、不快な声になることにいう。長唄でいわれる。
(ロ) 三味線太鼓などの楽器の演奏で、テンポのはやい演奏を完全に持続することができず、中途で乱れてしまうことにいう。

ほし‐あ・げる【干上・乾上】

〘他ガ下一〙 ほしあ・ぐ 〘他ガ下二〙
日光火力で、水分をすっかり除く。十分にかわかす。
※平家(13C前)八「源氏の舟五百余艘ほしあげたるを、おめきさけむでおろしけり」
食物を欠乏させて苦しめる。
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉四「国の女房子供を干(ホ)し上(ア)げて置いて」
③ 水や酒などを全部飲みほす。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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