干し柿(読み)ほしがき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「干し柿」の意味・わかりやすい解説

干し柿
ほしがき

渋柿の皮をむき、天日乾燥または人工的に加熱乾燥したもの。渋抜きと保存の両方を兼ねている。日本の乾果の代表的なものである。製法の違いにより各種の名称がある。竹串(たけぐし)に刺して乾燥した串柿細縄や糸につるして干すつるし柿、半乾きの柿を莚(むしろ)の上で転がしながら乾燥した転(ころ)柿などである。また、柔らかい干し柿をいくつも抱き合わせるように固め、竹皮や藁(わら)で包んで細縄で巻きあげた巻柿などもある。干し柿の表面に出てくる白い粉はブドウ糖果糖の混合物である。干し柿はそのまま食べるほか、細切り大根などとあわせて柿なますにしたり、菓子材料に用いられる。干し柿をつぶして寒天と砂糖で煮つめ、竹の容器に流して固めた柿羊羹(ようかん)は大垣市(岐阜県)の名物として知られている。

河野友美


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「干し柿」の意味・わかりやすい解説

干し柿
ほしがき

日本独特の乾燥果実で,渋柿の皮をむいて干したもの。糖が多く,粗繊維の少い渋柿が適しており,大和百目,甲州百目,平無核,西条,堂上蜂屋などの品種がよいとされている。皮をむいて,天日乾燥あるいは人工乾燥する。乾燥中に渋は徐々に抜けていく。殺菌殺虫を兼ねて硫黄薫蒸することもある。なかば乾燥したところで1つずつ手でもみ,水分を均一にし形を整える。次にわらの中に並べ桶の中に置くと,数日で白い粉がふいてくる。再び日に当て,粉出しの操作を繰返す。白粉は果糖とぶどう糖の混合物。製造法によりころ柿,串柿,巻柿,紅柿あんぽ柿などがある。柿なますなどの料理や,柿羊羹などの菓子の材料としても用いられる。福島山梨,岐阜,広島などが名産地。

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