常・恒(読み)つね

精選版 日本国語大辞典 「常・恒」の意味・読み・例文・類語

つね【常・恒】

〘名〙
① (形動) 同じ状態で、長く時を経過すること。いつも変わらないでいるさま。また、そういうもの。永久不変。常住。副詞的にも用いる。
万葉(8C後)一八・四一一六「鏡なく かくし都禰(ツネ)見む 面変りせず」
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八「如来の道地に墜ちず、之を弘むる者衆し。何の常(ツネ)か有らむ」
② (形動) 日常普通に見られる行為や状態であること。いつもの通りであるさま。ふだん。平素。副詞的にも用いる。
※万葉(8C後)五・八八八「都禰(ツネ)知らぬ道の長手をくれくれと如何(いか)にか行かむ糧米(かりて)は無しに」
③ (形動) 日常の事物や状態を基準にした価値判断で、普通の程度であるさま。特殊でないありふれた事物、状態。人並み。あたりまえ。
※仏足石歌(753頃)「薬師は 都禰(ツネ)のもあれど 賓客(まらひと)の 今の薬師 貴かりけり 賞(め)だしかりけり」
徒然草(1331頃)九五「文の箱は多くは右に付く。手箱には軸に付くるも常の事なり」
絶え間をおかないで続けること。中断することがないこと。副詞的にも用いる。
※万葉(8C後)四・五四二「常(つね)(や)まず通ひし君が使来ず今は逢はじとたゆたひぬらし」
⑤ 変わることなく継続的に行なわれること。
延喜式(927)祝詞「常の例に依りて、廿年(はたとせ)一遍び、大宮新に仕へ奉りて」
同類のものが共通してそなえている性質傾向
※万葉(8C後)一九・四二五九「十月(かみなづき)しぐれの常(つね)か吾が背子が宿の黄葉(もみちば)散りぬべく見ゆ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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