日本大百科全書(ニッポニカ) 「帳外(ちょうがい)」の意味・わかりやすい解説
帳外(ちょうがい)
ちょうがい
「ちょうはずれ」とも読む。江戸時代、行く末見届けがたい者から被るべき後難を免れるために、村方でその者を人別(にんべつ)帳から除くこと。その目的において久離(きゅうり)と一致するが、久離は親族関係を断絶するために目上の親類が行うのに対し、帳外は村方で行ったものである。両者は別であるから、親類から久離を願い出ても、村方から帳外を願い出ないこともあった。帳外は、村方で、その者の親族と相談のうえ、領主・地頭(じとう)あるいは代官に願い出て、その許可を得て行われる。帳外された者を無宿という。無宿に対して、人別帳に記載されている者を有宿という。帳外の取消しには、領主・地頭・代官の許可を要した。なお、江戸初期には、検地帳に記載されない農民のことを広く帳外と称した。
[石井良助]