帯下【たいげ】
〈おりもの〉〈こしけ〉とも。女性性器の分泌物をいう。色調によって白帯下,黄帯下,赤帯下と呼ぶ。白帯下は腟(ちつ)内膜上皮,黄帯下は白血球,赤帯下は赤血球の混入による。生理的帯下は白帯下に属し,透明または白色(下着につくと黄色になる)で,排卵期,妊娠時,性的興奮時にふえる。健康時の腟帯下はデーデルライン腟杆(かん)菌が含まれ,腟内が酸性に保たれて,細菌の侵入を阻止している(腟の自浄作用)。病的帯下はトリコモナスの寄生,カンジダや雑菌,淋(りん)菌などの感染,性器の炎症,糜爛(びらん),ホルモン分泌の衰えや悪化,腫瘍(しゅよう)などによって起こる。治療に際しては,単に分泌物を排除,吸収させることよりも,原因を治療することが重要。
→関連項目外陰炎|クラミジア感染症|子宮癌|切迫流産|腟炎|トリコモナス腟炎|妊娠
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
帯下
たいげ
flow
こしけともいう。婦人性器からの分泌物。多少の分泌物は生理的にあるが,その存在が自覚され,不快感を感じるようになったものを帯下と呼ぶ。大部分は腟内分泌物と頸管の粘液で,妊娠すると増加する。ほかに病的帯下があり,白色のものはトリコモナス腟炎や子宮内膜炎に,黄色のものは淋疾によることが多い。真菌によるものは白色,チーズ様のおりもので,いずれも外陰部に痛みとかゆみを感じる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
こし‐け【帯下】
〘名〙 女性性器から出るおりもの。膿性、血性、粘液性など原因によって違った症状を呈する。婦人病の症状の一つ。たいげ。白帯下(はくたいげ)。膣内容。
※俳諧・誹諧之連歌(飛梅千句)(1540)墨何第十「雪はうち散あぶなかりけり 袖返す寒さこしけのただならで」
たい‐げ【帯下】
〘名〙 女性性器からの分泌物。こしけ。
※史記抄(1477)一四「婦人を貴ぶ処ぢゃと云へば、帯下のなかち、しらちなんどの医をするぞ」 〔黄帝内経素問‐骨空論〕
おび‐した【帯下】
〘名〙
① 帯をしめる腰のあたり。また、
衣服の帯をしめる部分。
② 帯をしめる所から足までの長さ。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「帯下」の意味・読み・例文・類語
おび‐した【帯下】
1 帯を締める腰の辺り。
2 帯を締める位置から足首までの長さ。主に袴の丈にいう。
3 掻取を着るときに使う小袖。
たい‐げ【帯下】
女性の性器からの分泌物。こしけ。白帯下。白血。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
たいげ【帯下 fluor genitalis】
女性性器からの分泌物のことで,いわゆる〈おりもの〉のことであるが,通常この分泌物が異常に増加し,外陰部を湿潤にし,不快感(帯下感)を感ずるようになったとき,これを帯下または〈こしけ〉という。帯下感は個人差が大きく,実際の帯下の量とは必ずしも一致せず,神経質な婦人は多く感ずる。 帯下には,排卵時や妊娠時にみられる生理的なものと,病的なものとがある。病的帯下の原因としてはその約80%がトリコモナス症,カンジダ症で,その他,炎症あるいは腫瘍,腟内異物などがある。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典内の帯下の言及
【外陰炎】より
…小児期や老年期には接触皮膚炎や細菌性炎症が多く,性成熟期にはカンジダ症や上記の性行為感染症などが増加する。疾患により症状がかなり異なるが,一般に局所の発赤,腫張,熱感,搔痒(そうよう)感を訴え,腟炎と合併していることが多く帯下が増量する。治療は,局所を安静にし,刺激を避けて清潔を保つことのほか,原因に対する治療を行う。…
【頸管炎】より
…病原菌としては一般の化膿菌や淋菌が主である。黄色膿様あるいは白色の頑固な帯下の増加をきたす。治療としては,細菌検査を行い抗生物質の局所ならびに全身投与を行う。…
【帯下】より
…女性性器からの分泌物のことで,いわゆる〈おりもの〉のことであるが,通常この分泌物が異常に増加し,外陰部を湿潤にし,不快感(帯下感)を感ずるようになったとき,これを帯下または〈こしけ〉という。帯下感は個人差が大きく,実際の帯下の量とは必ずしも一致せず,神経質な婦人は多く感ずる。…
※「帯下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報