師守記(読み)もろもりき

改訂新版 世界大百科事典 「師守記」の意味・わかりやすい解説

師守記 (もろもりき)

(1)南北朝期の公家中原師守日記中原家は局務として外記(げき)の職を世襲し師守も大外記に任ぜられたため,記事は政務や記録所関係のことに詳しい。また所領の大炊(おおい)寮領の御稲御稲田(みいねだ))のことも記され,勘例文書の写しも多く収められていて史料的価値が高い。自筆原本国立国会図書館に1339-74年(延元4・暦応2-文中3・応安7)の分が64巻(修理前は53巻)ある(書名は兄の《師茂記》と誤って記されている)。《史料纂集》所収。(2)江戸時代の公家大外記押小路(中原)師守の日記。1729-37年(享保14-元文2)の記載がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「師守記」の意味・わかりやすい解説

師守記
もろもりき

(1)大外記(だいげき)中原師守の日記。1339~74年(暦応2~応安7)にわたるもので、64巻からなる。南北朝時代の重要史料。師守が局務として関与した政務、北朝方の動向を詳しく記述し、後醍醐(ごだいご)・光厳(こうごん)両帝の葬儀、天竜寺供養などの記事も貴重である。原本は、大半は国立国会図書館にあるが、国立公文書館(押小路(おしこうじ)家古文書)や早稲田(わせだ)大学にも若干所蔵されている。刊本として『史料纂(さん)集』に含まれる(11冊)。

(2)大外記押小路師守の日記。1729~37年(享保14~元文2)・40年(元文5)にわたり、自筆本15冊が国立公文書館に所蔵されている。

[山口隼正]


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百科事典マイペディア 「師守記」の意味・わかりやすい解説

師守記【もろもりき】

南北朝時代の公家である中原師守の日記。記事は1339年から1374年に及ぶが,途中に欠落部分も見られる。中原家は外記(げき)の職を世襲した家柄で,師守も大外記(だいげき)に任じられている。そのため朝廷内の政務や記録所関係の記事が詳しく,当時の文書などの写しも収録されている。なお別書として,江戸時代中期の公家である大外記の押小路(おしこうじ)(中原)師守の日記がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「師守記」の意味・わかりやすい解説

師守記
もろもりき

(1) 大外記 (げき) 中原師守の日記。延元4=暦応2 (1339) ~正平 23=応安1 (1368) 年間と建徳2=応安4 (1371) 年,文中3=応安7 (1374) 年の部分からなる。国立国会図書館に自筆原本が伝存する。 (2) 大外記押小路師守の日記。享保 14 (1729) 年から元文5 (1740) 年まで。原本は国立公文書館所蔵。

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