普及版 字通 「師(漢字)」の読み・字形・画数・意味
師
常用漢字 10画
[字訓] いくさ・せんせい
[説文解字]
[甲骨文]
[字形] 会意
(し)+(し)。は軍が出行するとき、軍社に祀った肉の象形。将軍はこの祭肉を携えて出行する。は(そう)(めぐる)とは別の字で、把手のある曲刀の刃部に、血止めの叉枝を加えている形で、肉切りの丁の類。肉をこれで切りとって携行する意で、師旅の意となる。〔説文〕六下に「二千五百人を師と爲す。に從ひ、に從ふ。の四なるは、衆のなり」という。を〔説文〕十四上は小阜(ふ)の象と解しており、その阜を(めぐ)るほどの人であるから師衆の意となるとするが、卜文・金文の字形が示すようには肉の形。古くはがそのまま師の意で、卜辞には三軍を三といい、将軍・師長の職を「般」のようによぶ。すなわちは師の初文。卜文に、の下に一・二の横画を加えて、を安置するところを示し、軍の基地・駐屯地を示す。を安置する前に標木の朿(し)を立てたものは。のちが駐屯地を意味した。久しく基地とするところではを建物中に安置し、官という。官はまた将軍の居るところで、(館)という。朿はまた軍門に用い禾(か)という。軍を分遣するときその肉を分与したので、(遣)という。〔説文〕はを阜にして土堆丘陵の意と解したため、系の字形解釈をすべて誤ることとなった。師長が軍職を退いたのち、氏族子弟の教育にあたり、教学や軍楽のことを教えたので、教学・音楽は師氏の職掌とされた。〔周礼〕の師系統の職事は、多くこのような氏族社会の伝統から発している。
[訓義]
1. 軍社の祭肉を切る刀、その刀を扱う人、師官、軍官。
2. 将軍、軍隊、軍団。
3. いくさ、戦争。
4. 師長、先生、楽官、諸学技芸・伝統的な習俗の伝承者、官吏。
5. 師衆、多くの人、大衆、もろもろ。
6. ならう、のっとる、したがう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕師 イクサ・ツカウマツル・キミ・ノリ・シタガフ・モロモロ・イクサダチス 〔字鏡集〕師 モロモロ・シタガフ・ツカサ・ツカフマツル・イクサ・カタチ・ノリ・モロ・ヒトキミ
[声系]
〔玉〕に師声として獅を収め、「猛獸なり」という。漢の順帝のとき、はじめて西域より献じたという。鰤は〔広韻〕に「老魚なり」とあり、わが国ではぶりをいう。
[熟語]
師位▶・師姨▶・師役▶・師恩▶・師家▶・師学▶・師干▶・師期▶・師教▶・師矩▶・師君▶・師訓▶・師兄▶・師言▶・師古▶・師姑▶・師工▶・師公▶・師行▶・師号▶・師祭▶・師子▶・師氏▶・師師▶・師資▶・師事▶・師式▶・師主▶・師儒▶・師授▶・師衆▶・師術▶・師胥▶・師承▶・師匠▶・師娘▶・師職▶・師心▶・師人▶・師説▶・師宗▶・師帥▶・師尊▶・師長▶・師弟▶・師伝▶・師徒▶・師道▶・師婆▶・師伯▶・師範▶・師比▶・師表▶・師傅▶・師巫▶・師風▶・師保▶・師父▶・師輔▶・師母▶・師姆▶・師姥▶・師慕▶・師模▶・師▶・師法▶・師命▶・師門▶・師爺▶・師友▶・師吏▶・師律▶・師旅▶・師令▶・師郎▶
[下接語]
医師・雨師・鋭師・王師・恩師・楽師・技師・吉師・旧師・御師・漁師・教師・軍師・京師・経師・遣師・賢師・厳師・工師・講師・国師・済師・三師・士師・事師・舟師・楫師・少師・常師・心師・真師・人師・水師・出師・成師・請師・先師・僭師・祖師・宗師・大師・太師・陳師・帝師・天師・道師・導師・読師・農師・班師・父師・風師・仏師・法師・卜師・牧師・薬師・輿師・鷹師・律師・良師・猟師・老師・労師
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報