帝(漢字)

普及版 字通 「帝(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)
9画

[字音] テイ・タイ
[字訓] あまつかみ・みかど

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
神を祀るときの祭卓の形。示は一脚の小さな祭卓の形。はその下部を交脚とし、その交叉部を締めて安定したもので、その祭卓の形。祀るときに奏する祝詞を収める器の形である口((さい))を加えて(てき)となるが、(嫡)(てき)の初文。帝を祀ることは、その嫡系の者に限られていた。〔説文〕一上に「諦(あき)らかにするなり。天下に王たるの號なり」と審諦の意を以て解し、また字を「二(上)に從ひ、朿(し)聲なり」とするが、そのように分析すべき字形ではない。上天の嫡祖を帝といい、父祖は示といった。卜辞に五示・十示のように、祖を合わせて祀ることがある。金文に「上」「皇上」のようにいうものは、すでに皇天を人格神化する観念があったものであろう。

[訓義]
1. あまつかみ、とおつおや。
2. みかど、皇帝
3. 古代の神話的なみかど、五帝。
4. 諦と通じ、あきらか、さだめる。

[古辞書の訓]
立〕 キミ・ミカド・チチ・オホキミ 〔字鏡集〕 ミカド・アキラカ・キミ・タダ

[部首]
〔説文〕〔玉〕は字を上の部に属し、〔篆隷万象名義〕もその例によるが、〔新字鏡〕〔類聚名義抄〕は巾部、〔音訓立〕は(商)部に属する。字形の理解が失われるとともに、立ての法も変化し、〔竜手鏡〕では巾部、〔康熙字典以後はみな巾部に収めるが、字は巾とは関係がない。

[声系]
〔説文〕に声として・諦・(締)、また(し)声として(適)・(敵)・など十二字を収める。は祭卓のに祝の形()をそえたもので、の初文、卜辞では祭のの字に用いる。に締める意と、帝の直系たるものとの意があり、は祭卓の下部を締結する意。祭を行うべきもので、相当たるものであるから、嫡・適の意となる。(滴)・(摘)は、小さなまるいものをいう擬声的な語である。

[語系]
tyiは大きな祭卓の形。卓tekは祭事上の大きな匙(さじ)の形。dyiはの動詞形。帝祀をなしうるものをtyekといい、帝の直系者を意味する。みな同系の語である。

[熟語]
帝位・帝・帝帝宇・帝運帝掖・帝王・帝化・帝学帝畿・帝紀・帝・帝宮・帝弓帝京・帝郷・帝業・帝極・帝君・帝系・帝帝闕・帝功帝郊・帝綱・帝号・帝国・帝・帝佐・帝子・帝師・帝室・帝者・帝狩・帝所・帝緒・帝城・帝心帝宸・帝制・帝世・帝・帝籍帝祚・帝宗・帝則・帝宅帝闥帝衷・帝帝勅帝廷・帝庭・帝図・帝都・帝統・帝道・帝徳・帝傅・帝服・帝墳・帝輔・帝母・帝・帝命・帝・帝容・帝陵・帝力・帝綸・帝霊・帝輦
[下接語]
雲帝・炎帝・義帝・玉帝・今帝・古帝・五帝・后帝・皇帝・女帝・上帝・青帝・聖帝・先帝・大帝・天帝・廃帝・望帝・類帝

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android