市易法(読み)しえきほう(英語表記)Shì yì fǎ

精選版 日本国語大辞典 「市易法」の意味・読み・例文・類語

しえき‐ほう ‥ハフ【市易法】

〘名〙 中国北宋王安石新法一つ商人対象とする低利資金融通法で、一〇七二年実施。小商人豪商から守るために主要都市に市易務を設け、物資調達、低利融資により商業振興、財政充実をはかった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「市易法」の意味・読み・例文・類語

しえき‐ほう〔‐ハフ〕【市易法】

中国、北宋王安石の新法の一。中小商人の保護物価安定目的に、小商人の物資が売れないとき、政府がこれを買い上げたり、またはその物資を抵当に低利金融を行った。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「市易法」の意味・わかりやすい解説

市易法 (しえきほう)
Shì yì fǎ

中国,北宋の王安石の新法の一つ。中小商人の保護政策。1072年(熙寧5)3月実施。専売法などを中心に政権と結びついた都市の豪商たちは,商品買占め,価格操作などを恣意的に行い,中小商人を圧迫し,商品の流通を妨げた。王安石は,大商人に買いたたかれる商品を政府が適正価格で買い上げ,規定担保もしくは保証人のある中小商人に低利でそれを売りさばかせた。主要都市に市易司が設けられ,効果をあげたが,豪商の反対でつぶされた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「市易法」の意味・わかりやすい解説

市易法
しえきほう

中国、北宋(ほくそう)の王安石(おうあんせき)の新法の一つ。市易とは交換流通のことで、その名の示すように商業流通の合理化をねらった。1070年、西北辺の茶・馬貿易の要所に市易司を置き、貿易を統制して豪商を締め出し、その利益を辺境経営にあてた。ついで72年、開封(かいほう)とその後背の大運河流域などに市易司を設け、政府が介入して滞貨を買収し、市易司の傘下に再編されたギルド商人を通じて流通させ、官用品の調達にも市易司が介入し、大商人の暴利を抑えた。

[斯波義信]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市易法」の意味・わかりやすい解説

市易法
しえきほう
Shi-yi-fa; Shih-i-fa

中国,北宋の王安石が行なった新法の一つ。中小商人を対象とする低利資金融資法で,おもな都会に市易務を設け,商人の物資が売れないときは買上げ,またそれを抵当にして年利2割で資金を貸付けた。高利で豪商に緊縛されていた中小商人を豪商から解放し,商業の安定した発展をはかったもの。豪商は旧法党の官僚と結び,後宮に強く働きかけて天子を動かしたので,王安石は失脚した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「市易法」の解説

市易法
しえきほう

宋の王安石の新法の1つで,商人を対象とした低利資金貸付法
当時,豪商が政府の物資調達の組合を動かし,そのため彼らから資金を借り入れる小商人は苦しんだ。この弊害を除くため,政府は同法を実施して組合に課していた物資調達を免じ,市易務を設けて地方商人から政府が直接物資を調達し,また小商人に政府が低利で資金を貸し付けたりして豪商の搾取を押さえたが,旧法党の反対を受けた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「市易法」の解説

市易法(しえきほう)

北宋の王安石の新法の一つ。政府の物資調達をめぐる豪商の営利独占・小商人抑圧を排し,国家がギルド商人を指揮して商業に乗り出し,合わせて低利融資,小商人の保護,価格の平準により商業の振興を図ったもの。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android