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世界大百科事典(旧版)内の市川小団次(4世)の言及
【歌舞伎】より
… 猿若町時代の歌舞伎を代表するのが河竹黙阿弥である。彼は上方から下った世話物の名優4世市川小団次と提携し,音楽劇的に情緒豊かな,その一面に写実を徹底的に推し進めた多くの作品を作った。《蔦紅葉宇都谷峠(つたもみじうつのやとうげ)》《鼠小紋東君新形(ねずみこもんはるのしんがた)》《三人吉三廓初買》《勧善懲悪覗機関(かんぜんちようあくのぞきがらくり)》など,現代にも〈黙阿弥物〉の名で名作として伝わる数多くの世話物を精力的に書きつづけた。…
【河竹黙阿弥】より
…この期には団十郎のための《難有御江戸景清(ありがたやめぐみのかげきよ)》(1850),柳下亭種員の合巻を脚色した《[児雷也豪傑譚話]》(1852)などがある。 第2期は54年(安政1)から66年(慶応2)までの10余年間で,名人といわれた幕末の代表的役者4世市川小団次と組み,[生世話]狂言とくに[白浪物]に本領を発揮,地位を確立した時代。その契機は《[都鳥廓白浪]》(1854)で,以下《[蔦紅葉宇都谷峠]》(1856),《[網模様灯籠菊桐]》(1857),《[小袖曾我薊色縫](あざみのいろぬい)》(1859),《[三人吉三廓初買]》(1860),《[八幡祭小望月賑](よみやのにぎわい)》(1860),《[勧善懲悪覗機関](かんぜんちようあくのぞきがらくり)》(1862),《[曾我綉俠御所染](そがもようたてしのごしよぞめ)》(1864),《[船打込橋間白浪](ふねへうちこむはしまのしらなみ)》(1866)などを小団次のために書いた。…
【勧善懲悪覗機関】より
…別名題《村井長庵巧破傘(むらいちようあんたくみのやれがさ)》,通称《村井長庵》。幕末の名作者河竹黙阿弥が,当時の名優4世市川小団次のために書きおろした作品。小団次は,義弟を殺し,妹を人手にかけさせる極悪非道な町医者村井長庵と,神田の質屋伊勢屋の手代で実直な善人久八の二役をつとめ,大当りをとった。…
【座頭】より
…座頭役者の子が親の名跡(みようせき)を継ぎ,あるいは高弟が師匠の名跡を継いで,座頭となる場合が多かった。それだけに,下級の役者から出世して,実力だけで座頭の地位につくのは至難の業で,初世[中村仲蔵],4世[市川小団次]らは,その稀有な例。立女方(たておやま)を指して〈女方の座頭〉と呼ぶことはあった(《三座例遺志(さざれいし)》)が,原則として女方は一座の座頭にはならなかった。…
【白浪物】より
…これを歌舞伎にとりこんだのが[河竹黙阿弥]である。黙阿弥は提携した4世[市川小団次]の柄(がら)や芸風に合わせて,1854年(安政1)の《[都鳥廓白浪](みやこどりながれのしらなみ)》をはじめ《[鼠小紋東君新形](ねずみこもんはるのしんがた)》《[網模様灯籠菊桐](あみもようとうろのきくきり)》《[小袖曾我薊色縫](こそでそがあざみのいろぬい)》《[三人吉三廓初買](さんにんきちさくるわのはつがい)》《[勧善懲悪覗機関](かんぜんちようあくのぞきがらくり)》《[船打込橋間白浪](ふねへうちこむはしまのしらなみ)》など,傑作・佳作を続々と書いて白浪作者の異名を得,小団次も白浪役者と呼ばれた。13世市村羽左衛門(のちの5世尾上菊五郎)のために黙阿弥が書いた《[青砥稿花紅彩画](あおとぞうしはなのにしきえ)》もある。…
【鼠小紋東君新形】より
…1857年(安政4)1月江戸市村座初演。配役は鼠小僧次郎吉こと稲葉幸蔵を4世市川小団次,幸蔵養母お熊・早瀬弥十郎・次郎太夫を坂東亀蔵,与之助を河原崎権十郎(のちの9世市川団十郎),お高・松山・若草を4世尾上菊五郎,新助・伊之助を5世坂東彦三郎,与惣兵衛を2世浅尾与六,蜆売り三吉を13世市村羽左衛門(のちの5世尾上菊五郎)など。1832年(天保3)に処刑された鼠小僧の実説をふまえた2世[松林(しようりん)伯円]の講談をもとに脚色された。…
【八幡祭小望月賑】より
…1860年(万延1)7月江戸市村座初演。配役は縮売越後新助・小天狗正作を4世[市川小団次],赤間源左衛門・念仏六兵衛を3世関三十郎,芸者美代吉を岩井粂三郎(のちの8世半四郎),穂積新三郎を河原崎権十郎(のちの9世市川団十郎),白滝の佐吉を13世市村羽左衛門(のちの5世尾上菊五郎)など。1807年(文化4),深川の八幡祭の際,人出の多さに永代橋が落ちた事件と,18年(文政1)本郷の呉服屋甚之助が深川芸者おみのを殺した事件をヒントに,小千谷から毎年江戸へ縮(ちぢみ)を売りにくる越後商人を小団次の柄にはめ,初演は世界を〈切られ与三〉にして脚色。…
【都鳥廓白浪】より
…1854年(嘉永7)3月江戸河原崎座初演。配役は忍ぶの惣太を4世[市川小団次],花子実は松若を[坂東しうか],吉田梅若を沢村由次郎(のちの3世[沢村田之助])。謡曲《隅田川》の梅若伝説をふまえたお家世話狂言。…
※「市川小団次(4世)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」