市古貞次(読み)いちこていじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「市古貞次」の意味・わかりやすい解説

市古貞次
いちこていじ
(1911―2004)

国文学者。山梨県生まれ。1934年(昭和9)東京帝国大学国文科を卒業し、同助手となり、1940年第一高等学校教授を経て、1950年東京大学教養学部助教授、1954年文学部助教授、1957年教授となる。1955年、中世小説の研究の基礎を築いた『中世小説の研究』を発表し、1959年『日本文学史概説』、1968年『日本文学概論』、1981年『中世小説とその周辺』などの著作を発表し、日本の中世と近世のおもに小説文学の研究に前人未踏の領域を開拓した。1972年文部省国文学研究資料館(現大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館)の初代館長を務め、『国書総目録編纂(へんさん)に尽力した。1976年日本学士院会員。1990年(平成2)文化勲章受章

編集部]

『『日本文学史概説』改訂版(1966・秀英出版)』『『中世小説とその周辺』(1981・東京大学出版会)』『『中世小説の研究』(1991・東京大学出版会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市古貞次」の意味・わかりやすい解説

市古貞次
いちこていじ

[生]1911.5.5. 山梨,甲府
[没]2004.3.25. 東京
国文学者。 1934年東京大学国文学科卒業。 1940年一高教授,1950~70年東京大学教授を歴任。文部省国文学研究資料館の設立に尽力し,1972年初代館長に就任した。資料の収集整理のほか,1963年から 13年あまりをかけて『国書総目録』の編纂という偉業を成し遂げた。日本の中世・近世文学,特に小説文学の研究で独自の領域を切り開いた。『中世小説の研究』 (1955) ,『日本文学史概説』 (1959) ,『日本文学概論』 (1968) ,『中世小説の周辺』 (1981) をはじめ著書も多い。 1976年学士院会員,1990年文化勲章を受章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「市古貞次」の解説

市古貞次 いちこ-ていじ

1911-2004 昭和-平成時代の国文学者。
明治44年5月5日生まれ。市古宙三の兄。一高教授などをへて,昭和32年東大教授。文部省国文学研究資料館の設立につくし47年初代館長。中・近世文学の研究とともに国文関係資料の収集と整理にあたり「国書総目録」の編集にたずさわった。平成2年文化勲章。12年学士院院長。平成16年3月25日死去。92歳。山梨県出身。東京帝大卒。著作に「中世小説の研究」「日本文学概論」など。

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