市制・町村制(読み)しせい・ちょうそんせい

山川 日本史小辞典 改訂新版 「市制・町村制」の解説

市制・町村制
しせい・ちょうそんせい

明治~昭和前期,大日本帝国憲法下の地方自治制度の基本法。1888年(明治21)公布翌年以降順次施行された。内相山県有朋(やまがたありとも)とモッセを中心に調査・研究を進め,プロイセンの地方自治制度と日本の旧制度の融合をめざした。元老院審議をへて,憲法発布をまたずに公布。従来の区のうち人口2万5000人以上を市としたが,東京・大阪・京都は特別地域として,市制実施は98年まで延期された。参政権地租もしくは直接国税年2円以上の納税者のみに付与された。全般的には市町村に対する内相・府県知事らの監督権限が大きかった。明治末~大正期に自治権・公民権の漸次拡充がみられたが,第2次大戦で再び縮小された。戦後の1947年(昭和22)の地方自治法施行により廃止

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百科事典マイペディア 「市制・町村制」の意味・わかりやすい解説

市制・町村制【しせい・ちょうそんせい】

政府が国会開設に先立ち地方統治構造を固めるために,1888年公布,翌年施行した地方制度。市町村は地方公共団体としての地位を確立したが,市町村の選挙被選挙権を持つのは直接国税2円以上の納入者に限られるなど少数の有産者が権限を握り,政府の内務大臣の強い統制下に置かれ,自治権は弱かった。なお市は人口2万5000人以上で,市長(市会推薦,内務大臣が任命,有給)以下参事会が行政を担当。町村長無給名誉職で町村会で選出
→関連項目三新法若松

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旺文社日本史事典 三訂版 「市制・町村制」の解説

市制・町村制
しせい・ちょうそんせい

1888(明治21)年制定された地方自治制度
モッセの助言と内相山県有朋の推進により制定。自由民権運動の要求にこたえる面と,立憲制開始の前に官僚支配の末端機構としての自治体を育てあげ,中央の政争が地方に波及しないようにする面の二つの狙いをもっている。自治権は弱かった。

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