(読み)きん

精選版 日本国語大辞典 「巾」の意味・読み・例文・類語

きん【巾】

〘名〙
① きれ。きれ地。布。
※菅家文草(900頃)一・春日仮景、尋訪故人「余花落処争移榻、宿醸開時且漉巾」
ふきん手拭(てぬぐい)手巾
※和漢朗詠(1018頃)上「山腰の帰雁は斜に帯を牽く 水面の新虹はいまだ巾を展べず〈都在中〉」
③ 頭にかぶるもの。髪をおおうもの。頭巾
※梅洞林先生詩続集(1668)二・荒戍月「荒戍平蕪輾桂輪、情懐到此涙沾巾」
※読本・雨月物語(1776)青頭巾「年紀五旬(としのころいそじ)にちかき老僧の、頭に紺染の巾を帔き、身に墨衣の破たるを穿て」 〔王維‐観別者詩〕
④ 琴の一番手前に当たる一三番目の糸の名。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
⑤ (「巾」は巾着の略) 客、入場者をいう、芸人仲間の隠語

ちきり【巾】

〘名〙 帽子や頭巾の類。
書紀(720)大化三年四月(北野本訓)「其鐘を撃かば吏者(つかさ)赤の巾(チキリ)を前に垂れよ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「巾」の意味・読み・例文・類語

きん【巾】[漢字項目]

常用漢字] [音]キン(漢) [訓]きれ
布きれ。「巾着手巾雑巾ぞうきん茶巾布巾三角巾
布製のかぶりもの。「巾幗きんかく頭巾ずきん
[補説]「はば」「べき」の代用字とすることがあるが、もと別字。
難読脛巾はばき領巾ひれ肩巾ひれ

きん【巾】

切れ。切れ地。布。
ふきん。手ぬぐい。
そうの13本目の弦。奏者から見ていちばん手前の弦。
頭や襟をおおう布。頭巾ずきん
かしら紺染あをぞめの―をかづき」〈読・雨月・青頭巾〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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