差違・刺違(読み)さしちがえる

精選版 日本国語大辞典 「差違・刺違」の意味・読み・例文・類語

さし‐ちが・える ‥ちがへる【差違・刺違】

[1] 〘自ア下一(ハ下一)〙 さしちが・ふ 〘自ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① (刺違) 互いに刀で刺し合う。また、そのようにして死ぬ。
平家(13C前)九「ここで佐々木にひっくみさしちがへ、よい侍二人死で」
② (「さし」は接頭語) 入れ違う。入れかわる。交差する。
※太平記(14C後)八「逆徒期せざるに洛中に襲来候。加様にて御座候はば、賊徒差違(サシチガヘ)て御所中へも乱入仕候ぬと覚へ候」
[2] 〘他ア下一(ハ下一)〙 さしちが・ふ 〘他ハ下二〙
① (「さし」は接頭語) まちがえる。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)四「此男は大方推(すい)して、十が九つさしちがへまい」
② (「さし」は接頭語) 入れ違いにする。入れ換える。交差させる。
※枕(10C終)二七八「三尺の御きちゃう一よろひをさしちがへて、こなたの隔てにはして」
※竹むきが記(1349)上「この車に八人取り乗りて出ぬるに、木戸の口にて三条殿の車参り会ひしかば、鴟尾をさしちがへて、四人づつ乗りぞ分け侍し」
③ ものさしなどで、はかりまちがえる。
④ 相撲で、行司が誤って負けた力士軍配をあげる。

さし‐ちがえ ‥ちがへ【差違・刺違】

〘名〙
① 入れまちがえること。入れ違い。
② 互いちがいにすること。
③ ものさしのはかり誤り。
⑤ (刺違) 互いに刀で刺し合うこと。また、そのようにして死ぬこと。

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