差立(読み)さしたてる

精選版 日本国語大辞典 「差立」の意味・読み・例文・類語

さし‐た・てる【差立】

〘他タ下一〙 さした・つ 〘他タ下二〙
[一] (「さし」は接頭語)
① 突きさして立てる。かかげる。あげる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
② 人をさし向ける。また、囚人などを送り移す。
※歌舞伎・四千両小判梅葉(1885)五幕「そいつ加賀金沢悪事が知れて召捕られ、江戸へ差立(サシタ)て入牢となりゃあ」
郵便物などを発送する。送り出す。
※半七捕物帳(1925)〈岡本綺堂小女郎狐「この捌きには土地の役人共も頭を悩まして、例の『御伺』を江戸へ差立(サシタ)てると」
④ 箱、畳のような手づくりの仕事を完成させる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[二] (「さし」は挿すの意) さし入れて立てる。
※日本書紀桃源抄(15C後)「さす時に櫛をさし立ると云ぞ」

さし‐たて【差立】

〘名〙
① 人をさし向けること。また、囚人などを送り移すこと。
※幕末御触書集成‐八五・文久二年(1862)「差立候迄在牢之儀は、是迄通りにては」
② 郵便物などを発送すること。〔郵便規則(明治三三年)(1900)〕
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉一三「二十九日御差立の貴札昨夜披見致候」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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