差合(読み)サシアイ

デジタル大辞泉 「差合」の意味・読み・例文・類語

さし‐あい〔‐あひ〕【差(し)合(い)/指(し)合(い)】

[名・形動]
さしつかえ。さしさわり。
ちっと貴方に―のあるのじゃ御座いませんけれどね」〈木下尚江良人の自白
人前で言ったりしたりすべきでないこと。つつしみ、遠慮すること。また、そのさま。
「お酒に酔うとじき親子の―もなく」〈二葉亭浮雲
二人で力を合わせてある物事をすること。また、そのさま。
「二人で―にかつぐ」〈左千夫野菊の墓
月経をいう女房詞
連歌俳諧で、同字語や同義語などが規定以上に近くに出るのを禁じること。また、そのきまり。→去り嫌い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「差合」の意味・読み・例文・類語

さし‐あわ・す ‥あはす【差合】

(「さし」は接頭語)
[1] 〘他サ下二〙
① 心などを一つにする。しめしあわせる。調子などを合わせる。
源氏(1001‐14頃)行幸「御心をさしあはせて、のたまはむ事」
太平記(14C後)二六「敵東西より差合(サシあは)せて雨の降る様に射る矢に」
② いくつもの事を同時に行なう。一緒にする。
※源氏(1001‐14頃)竹河「この御参りすぐして中の君をとおぼすなるべし。さしあはせては、うたてしたり顔ならむ」
③ (刀などを)ちょうど役立つように、その場に差している。
※虎明本狂言・仁王(室町末‐近世初)「さいわひさしあはせて御ざる此刀をかけまらせう」
[2] 〘自サ下二〙 いくつもの事が同時に起こる。一緒になる。重なる。
大鏡(12C前)二「おほやけごとさしあはせたるひなれば」

さし‐あわせ ‥あはせ【差合】

〘名〙
① 他の人と一緒にすること。また、一緒であること。さし。さしあい。
三十二番職人歌合(1494頃)二六番「旅の世の憂きをいとはば輿舁(こしかき)のくるしむ道ぞさし合せなる」
② 急の用に役立てることのできるもの。たすけとなるもの。
浮世草子世間胸算用(1692)五「たからは身のさしあはせ、これをうりて、当座の用にたつるより外なし」
③ さしさわり。故障。さしあい。
浄瑠璃伊賀越道中双六(1783)八「ハッと恟(びっく)り、差合せ包む我が名の顕れ口」

さ‐あい ‥あひ【差合】

〘名〙 取引相場で、相場上の差のこと。鞘(さや)

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世界大百科事典(旧版)内の差合の言及

【去嫌】より

…変化を生命とする連句文芸の心得として,一巻の連句において同季・同字,または同種・類似の語が頻出しないように設けられた規定。その規定を犯してAの語とBの語が近接して用いられることを〈差合(さしあい)〉という。去嫌は差合を避けるための規定で,用いるなら少なくとも三句隔てよという場合には〈AにBは三句去る〉,同じ懐紙のうちには用いるなという場合には〈AにBは折(おり)を嫌う〉などという。…

※「差合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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