さし‐わ・く【差分】
[1] 〘他カ四〙
① ことさらにする。わざとする。
※
源氏(1001‐14頃)若菜下「人をしも、さしわきて、
空酔ひをしつつかくのたまふ」
② 違いを区別する。また、特別に扱う。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「これかれつどはれて
さわがしかりしほどは、さしわきたるやうなりしかば、え」
[2] 〘他カ下二〙
① (一)②に同じ。
※千里集(894)「さだめなく吹きくる風をさしわけてなどかしづけき人につくらむ」
② 分ける。分割する。
※
太平記(14C後)七「其勢三千余騎を
指分(サシわけ)て、水の辺に陣を取せ」
さ‐ぶん【差分】
〘名〙
① 中国、
古代の算法の名。九数(九章)の一つ。品級に差があるものに公平に割り当てる義。
貴賤の稟税の
割当を計算するのに用いた。
衰分。〔周礼注‐地官・保氏〕
②
和算における
手法の一つ。今日、
比例配分を行なう際、および
鶴亀算を解く際に用いられるものに相当する。しゃぶん。衰分。〔広益熟
字典(1874)〕
③
数学で、与えられた数列の隣り合う二項の差を次々に取って作られた数列の、
もとの数列に対する称。第一差分または第一階の差分ともいう。第一差分の差分をもとの数列の第二(階の)差分、第二差分の差分をもとの数列の第三(階の)差分などと称する。また、
関数 f(x) および定数hに対して、f(x+h)-f(x) を f(x) の差分と呼ぶ。この場合にも、第二(階の)差分、第三(階の)差分などを定義することができる。
階差。
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デジタル大辞泉
「差分」の意味・読み・例文・類語
さ‐ぶん【差分】
1 関数f(x)のx1の点における関数値とx2の点における関数値の差。
2 ⇒階差
3 和算で、比例配分のこと。衰分。
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差分
さぶん
difference
階差あるいは定差ともいう。一般に x の関数 y=f(x) において,有限な一定値 Δx をとって,Δy=f(x+Δx)-f(x) とおくとき,Δy を関数 f(x) の x における差分という。さらに Δy も x の関数と考えられるから,Δy の x における差分 Δ(Δy) を考え,これを Δ2y と書く。 Δy を y の第1差分 (第1階の差分) ,Δ2y を y の第2差分 (第2階の差分) という。同様にして y の第 n 差分は
Δny=Δn-1f(x+Δx)-Δn-1f(x)
と定義される。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
さぶん【差分】
従来のソフトウェアをもとにして、一部を変更したり拡張したりした次世代のソフトウェアがあるとき、次世代ソフトウェアと従来ソフトウェアの違いの部分。◇差分データを抜き出すことを「差分をとる」という。⇒パッチ
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世界大百科事典(旧版)内の差分の言及
【差分法】より
…定数h≠0に対して, ⊿f(t)=f(t+h)-f(t)をf(t)の1階差分(単に差分,定差,階差ともいう)といい,差分を求めることを差分するという。この定義において,t,h,f(t)は複素数であってもよい。…
【方程式】より
…のようにφを未知関数と考えて方程式の中に積分記号が出てくるものを[積分方程式]という。関数y(x)に対して⊿y(x)=y(x+1)-y(x)を差分,⊿2y(x)=⊿(⊿y(x))=y(x+2)-2y(x+1)+y(x)を第2階差分といい,⊿2y(x)-⊿y(x)=2y(x)のように差分が出てくる方程式を[差分方程式]という。また,f(x)+f(y)=f(x+y)のように微分や積分や差分をまったく含まない関数方程式もある。…
※「差分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」