巫覡(読み)きね

精選版 日本国語大辞典 「巫覡」の意味・読み・例文・類語

き‐ね【巫覡】

〘名〙 神に仕える人。神楽(かぐら)を奏し、祝詞(のりと)をあげて神意をうかがい、それを人々に伝える、神と人間とのなかだちをする人。神官巫女(みこ)いずれにもいう。
神楽歌(9C後)採物・榊「〈末〉霜八度(やたび) 置けど枯れせぬ 榊葉の 立ち栄ゆべき 神の支禰(キネ)かも」

ふ‐げき【巫覡】

〘名〙 (「ふ」は「巫」の慣用音、「ぶ」は漢音。「ぶげき」とも) 神仏を勧請し霊の口よせをする者。神がかりとなって、人の未来、吉凶禍福を予言する者。女を巫、男を覡という。
続日本紀‐天平勝宝四年(752)八月庚寅「捉京師巫覡十七人、配于伊豆、隠伎、土左等遠国

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デジタル大辞泉 「巫覡」の意味・読み・例文・類語

ふ‐げき【××覡】

神に仕えて、祈祷や神おろしをする人。「巫」は女性、「覡」は男性にいう。巫者
「―卜相ぼくそうの徒の前にこうべ俯せんよりは」〈露伴運命

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普及版 字通 「巫覡」の読み・字形・画数・意味

【巫覡】ふげき

みこと男みこ。〔子、正論を出づれば巫覡事り。門を出づれば宗り。

字通「巫」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の巫覡の言及

【仁田忠常】より

…〈穴中地獄の様子を語るな〉と権現からいわれながら,禁忌を破って頼家に語ったために忠綱は命を失う。忠綱という人物は,伝承世界の中では顕冥二界にまたがる媒介的な存在であり,したがって巫覡(ふげき)の徒に担われて流布したものであろう。【岩崎 武夫】。…

※「巫覡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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