左翼演劇(読み)さよくえんげき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「左翼演劇」の意味・わかりやすい解説

左翼演劇
さよくえんげき

プロレタリア演劇ともいう。第1次世界大戦後,労働組合運動,プロレタリアート解放運動の進展とともに,世界的な規模で起った社会主義理論を創造の指針とする演劇。 1928年には国際労働者演劇同盟も結成された。労働者自身の手で創造し享受しようとする演劇運動と,左翼的な専門家が労働者を観客対象にする演劇運動とに大別される。日本では,前者に神戸川崎造船の労働者による日本労働者劇団 (1921) や友愛会の平沢計七による労働劇団 (22) があり,後者には東京左翼劇場やプロット (日本プロレタリア劇場同盟) に結集した諸劇団がある。 34年東京左翼劇場およびプロットの解散後も,新協,新築地両劇団が,マルクス主義を明らかに標榜はできなかったとはいえ,反資本主義,反帝国主義の創作方法を深め,40年に解散させられるまで,左翼演劇は新劇主流を占めた。第2次世界大戦後は急進的な理論を揚げる劇団は姿を消したが,新劇一般を「左翼演劇」とみなす風潮が 70年代頃まで続いた。

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