州浜・洲浜(読み)すはま

精選版 日本国語大辞典 「州浜・洲浜」の意味・読み・例文・類語

す‐はま【州浜・洲浜】

〘名〙 (「すわま」とも)
浜辺の入りこんだところ。水の湾入したなぎさ。州が出入りしている海岸。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「東の対の南のはしには、広き池流れ入りたり。〈略〉その水様すはまのやうにて、御前の南には中島あり」
② ①の形状にならった島台(しまだい)の作りもの。蓬莱山や木石、花鳥など、その時々の景物を設けたもの。饗宴などの飾り物とする。州浜台。
古今(905‐914)秋下・二七二・詞書「おなじ御時せられける菊合に、すはまをつくりて菊の花うへたりけるにくはへたりける歌」
③ 「すはまがた(州浜形)①」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑤ 紋所の名。①を上から見おろした形に種々のものをあしらい図案化したものの総称。州浜、五つ持合せ州浜、州浜桐、州浜木瓜など。〔文明本節用集(室町中)〕
⑥ 馬の鞍(くら)の部分の名。前輪後輪(しずわ)の下のへこんだ所。わにぐち。みいれ。州浜形
⑦ 棹物菓子。水飴、きな粉、白砂糖などで製し、竹の皮に包んだもの。弘安年間(一二七八‐八八)、京都の松寿軒創案のもの。横断面が、州浜形であるところからいう。州浜飴。豆飴
御伽草子隠れ里(室町時代物語集所収)(江戸初)「かたに、かづきたまふは、日ごろ、このませ給ふなる、すはま、とぢまめ、さたうまめ、たうふなんどや、入給ふ」
[補注]日葡辞書には別見出しに「Suama(スアマ)」もある。→すあま(州浜)

す‐あま【州浜・洲浜】

〘名〙 (「すはま」の変化した語)
① =すはま(州浜)〔天正本節用集(1590)〕
浮世草子懐硯(1687)四「南面縁側、西の(スアマ)
② =すはまがた(州浜形)①〔壒嚢鈔(1445‐46)〕

す‐わま ‥はま【州浜・洲浜】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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