日本大百科全書(ニッポニカ) 「川柳(柄井八右衛門)」の意味・わかりやすい解説
川柳(柄井八右衛門)
せんりゅう
(1718―1790)
江戸中期の雑俳点者(ざっぱいてんじゃ)。本名柄井八右衛門(からいはちえもん)。江戸浅草の名主(なぬし)を勤めるかたわら、1757年(宝暦7)前句付(まえくづけ)の点者を始め、『川柳評万句合(ひょうまんくあわせ)』を発刊、その巧みな選句眼は好評をもって迎えられた。さらに、1765年(明和2)に発行された『柳多留(やなぎだる)』は、万句合のなかから、前句を省いても句意のわかりやすいものを抜粋した新企画の句集で、これがいっそう川柳の名を高からしめた。この影響により、川柳の選句はしだいに前句とかかわらぬ傾向となり、ついに前句付から付句(つけく)だけが独立し、「川柳」とよばれる新文芸の誕生をみた。寛政(かんせい)2年9月23日没。享年73。台東(たいとう)区蔵前竜宝寺に葬る。なお、川柳の号は代々継承され、現代まで15代に及ぶ。
[岩田秀行]
『鈴木勝忠著『日本の作家31 無作の指導者柄井川柳』(1982・新典社)』
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