川上 貞奴(読み)カワカミ サダヤッコ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「川上 貞奴」の解説

川上 貞奴
カワカミ サダヤッコ


職業
新派女優

本名
川上 さだ(貞)

旧名・旧姓
小熊

生年月日
明治4年 7月18日

出生地
東京府日本橋(東京都 中央区)

経歴
7歳で東京・日本橋葭町の浜田屋の養女となり、16歳の時“奴”の名で芸者になり、伊藤博文ら政界の大物の贔屓を得た。明治24年壮士芝居の川上音二郎と結婚、29年神田に新派劇場・川上座を建てた。32年夫とともに一座17人を連れて渡米、サンフランシスコで貞奴を名乗り「道成寺」「袈裟と盛遠」で初舞台を踏み、評判を呼んだ。ついでニューヨーク、ワシントン、ロンドンと巡業してパリ万博(33年)にも出演、“マダム貞奴”と賞される。34年欧米に再巡業。帰国後の36年、明治座の「オセロ」で初めて正劇(せいげき)女優として日本の舞台に立った。41年音二郎と帝国女優養成所を設立、後に帝劇に引き継がれた。44年音二郎の死後も「サロメ」などを演じたが、大正6年音二郎の7回忌追善公演で「アイーダ」を演じた後、引退。我が国最初の近代的女優といわれる。翌年名古屋で大同電力社長になった福沢桃介同棲、自身も川上絹布社長となった。大正末年、川上児童劇団を一時主宰した。晩年、岐阜県各務原市に貞照寺と別荘・晩松園を建て、晩松園は国の登録有形文化財に指定されている。

没年月日
昭和21年 12月7日 (1946年)

家族
夫=川上 音二郎(新派俳優)

伝記
貞奴物語―禁じられた演劇女優の誕生と終焉―パフォーマンスとジェンダーマダム貞奴―世界に舞った芸者こんな女性たちがいた!万博とストリップ―知られざる二十世紀文化史したたかなロシア演劇―タガンカ劇場と現代ロシア演劇夢のかたち―「自分」を生きた13人の女たち明治を駆けぬけた女たち新編 近代美人伝〈上〉女優貞奴聞き語り にっぽん女性「愛」史ウィーンの日本―欧州に根づく異文化の軌跡舞姫物語シラノとサムライたち新時代のパイオニアたち―人物近代女性史ニューヨークのパフォーミング・アーツ聞き語り にっぽん女性「愛」史シカゴ日系百年史 森田 雅子 著池内 靖子 著レズリー・ダウナー 著,木村 英明 訳にんげん史研究会 著荒俣 宏 著堀江 新二 著鈴木 由紀子 著中村 彰彦 編著長谷川 時雨 著,杉本 苑子 編山口 玲子 著杉本 苑子 著ペーター・パンツァー,ユリア・クレイサ 著,佐久間 穆 訳市川 雅 著塩谷 敬 著瀬戸内 晴美 編大平 和登 著杉本 苑子 著伊藤 一男 著(発行元 ナカニシヤ出版平凡社集英社講談社集英社世界思想社ベネッセコーポレーションダイナミックセラーズ出版岩波書店朝日新聞社講談社サイマル出版会白水社白水社講談社新書館講談社シカゴ日系人会,PMC出版〔発売〕 ’09’08’07’00’00’99’96’94’93’93’92’90’90’89’89’89’88’86発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「川上 貞奴」の解説

川上 貞奴
カワカミ サダヤッコ

明治期の新派女優



生年
明治4年7月18日(1871年)

没年
昭和21(1946)年12月7日

出生地
東京府日本橋(現・東京都中央区)

本名
川上 さだ(貞)

旧姓(旧名)
小熊

経歴
7歳で日本橋葭町の浜田屋の養女となり、16歳の時“奴”の名で芸者になり、伊藤博文ら政界の大物のひいきを得た。明治24年壮士芝居の川上音二郎と結婚、29年神田に新派劇場・川上座を建てた。32年夫とともに一座17人を連れて渡米、サンフランシスコで貞奴を名のり「道成寺」「袈裟と盛遠」で初舞台を踏み評判を呼んだ。ついでニューヨーク、ワシントン、ロンドンと巡業してパリ万博(33年)にも出演、“マダム貞奴”と賞される。34年欧米に再巡業。帰国後36年明治座の「オセロ」で初めて正劇(せいげき)女優として日本の舞台に立った。41年音二郎と帝国女優養成所を設立、後に帝劇に引き継がれた。44年音二郎の死後も「サロメ」などを演じたが、大正6年音二郎の7回忌追善公演で「アイーダ」を演じた後引退。わが国最初の近代的女優といわれる。翌年名古屋で大同電力社長になった福沢桃介と同棲、自身も川上絹布の社長になった。大正末年川上児童劇団を一時主宰した。昭和8年には岐阜県鵜沼に貞勝寺という寺を建立。13年桃介没後も長生した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

367日誕生日大事典 「川上 貞奴」の解説

川上 貞奴 (かわかみ さだやっこ)

生年月日:1871年7月18日
明治時代の新派女優
1946年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android