嶋中事件(読み)しまなかじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「嶋中事件」の意味・わかりやすい解説

嶋中事件
しまなかじけん

雑誌『中央公論』 1960年 12月号をめぐる右翼テロ事件。同誌は「日本に革命が起り,暴徒のため皇族一家が虐殺される有様を夢物語として描写する」深沢七郎の小説『風流夢譚 (むたん) 』を掲載。右翼は「皇室に対する冒涜で,人権侵害である」として中央公論社へ抗議を続けていた。大日本愛国党の少年は 61年2月1日同社社長宅に侵入応接に出た同社長夫人を登山ナイフで刺して重傷を負わせ,制止しようとした同家の家事手伝いの女性を刺殺,翌2月2日早朝に都内で逮捕された。 62年2月 26日,東京地方裁判所は殺人,同未遂,住居侵入で懲役 15年を宣告,64年 11月6日東京高等裁判所は控訴を棄却した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「嶋中事件」の意味・わかりやすい解説

嶋中事件
しまなかじけん

『風流夢譚』事件

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の嶋中事件の言及

【中央公論社】より

…戦後は谷崎の《細雪》《鍵》などを出版したが,昭和30年代半ばの《週刊公論》の失敗を償うため,とくに出版部門に力を入れ,各種の全集もの,文庫,新書にも進出した。61年深沢七郎《風流夢譚》に関連して発生したテロ事件(嶋中事件または風流夢譚事件)は社内にはもちろん,社会に対しても大きな衝撃を与えた。【京谷 秀夫】。…

【風流夢譚事件】より

…嶋中事件ともいう。《中央公論》は1960年12月号に深沢七郎の創作《風流夢譚》を掲載したが,この作品は皇室を侮辱したものであるとした右翼団体は中央公論社に対する圧力を強めた。…

※「嶋中事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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