島根[県](読み)しまね

百科事典マイペディア 「島根[県]」の意味・わかりやすい解説

島根[県]【しまね】

中国地方北西部,日本海に面する県。隠岐諸島を含む。県庁所在地は松江市。6708.24km2。71万7397人(2010)。〔沿革〕 かつての出雲国石見(いわみ)国隠岐国3国にあたり,出雲は古代出雲文化の発祥地であった。戦国時代は尼子氏,1578年以後は尼子氏を破った毛利氏が3国を領有。江戸時代は松江藩松平氏が支配,石見には浜田津和野2藩と幕府領石見銀山があった。1871年島根・大森・津和野3県となり,1881年現県域となった。〔自然〕 南部の広島県境に標高1000m内外の中国山地の主脈が東西に走り,その北は700〜800mの石見高原が広がり,その間に高津川,江の川(ごうのがわ),神戸(かんど)川などが形成した盆地谷底平野が点在する。北東部には島根半島宍道(しんじ)湖中海があり,宍道湖の西には斐伊川,神戸川が沖積した出雲平野(簸川(ひのかわ)平野)が開ける。海岸は島根半島地区を除き一般に単調である。隠岐諸島は第三紀に噴出した火山島である。日本海岸式気候を呈し,日本海側の他の地方に比べ冬は積雪は少ないが,日照が少なく季節風が強い。〔産業〕 産業別人口構成は第1次10.1%,第2次25.2%,第3次64.1%(2005)。平地良港,資源にも乏しいため,経済の発展が遅れ,第1次産業の比率が高い。耕地は全面積の約7.1%。その79.9%は出雲平野を中心とする水田である(2003)。石見高原や山間盆地では畑作,肉牛飼育,海岸砂丘ではブドウ・ナシ栽培が行われる。水産業は浜田市,鹿島町(現・松江市),美保関町(現・松江市)が中心で,アジ,サバ,イカなどを漁獲,隠岐ではカレイマダイなどの養殖がみられる。ワカメ,浜田のかまぼこは特産物。鉱産では平田市(現・出雲市)鰐淵(わにぶち)鉱山石膏(全国一)を産していたが1978年に閉山した。工業では,たたら製鉄の伝統をひく安来市の鉄鋼,出雲市の繊維,松江市の電気機械,江津市のパルプ,益田市の木工・製材,東出雲町の農具などが主。在来の工業では石州瓦,和紙,雲州そろばんなど。大山隠岐国立公園と,比婆道後帝釈・西中国山地の2国定公園があり,出雲大社,一畑薬師,鰐淵(がくえん)寺などの寺社,温泉の玉造,三瓶(さんべ),湯抱,温泉津(ゆのつ)など,城下町の松江,津和野,景勝の鬼の舌震(したぶるい),立久恵峡,三瓶山,隠岐海岸など,史跡や観光地が多く,各地の神代神楽(かぐら),津和野の鷺舞(さぎまい)などすぐれた郷土芸能も伝わる。1996年加茂町(現・出雲市)で,弥生時代中期の大量の銅鐸が発見され加茂岩倉遺跡と名づけられた。2007年に石見銀山遺跡とその文化的景観が世界遺産条約の文化遺産リストに登録された。〔交通〕 海岸沿いに山陰本線,国道9号線が通じて県の幹線をなし,内陸部は,山口線,木次(きすき)線,三江線,浜田自動車道が通じる。島根半島に一畑電車,美保関町(現・松江市)七類港〜隠岐間に定期航路が通じ,出雲・石見・隠岐3空港がある。
→関連項目出雲そば山陰地方中国地方

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