島前(読み)ドウゼン

デジタル大辞泉 「島前」の意味・読み・例文・類語

どう‐ぜん〔ダウ‐〕【島前】

島根県北東部、日本海上にある隠岐おき諸島中、知夫里ちぶり島・西ノ島中ノ島中心とする島々総称島根半島の北方約50キロメートルに位置する。島後どうご水道を経て対する島後と合わせ隠岐諸島という。養殖漁業と観光開発が進んでいる。大山だいせん隠岐国立公園に属する。

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日本歴史地名大系 「島前」の解説

島前
どうぜん

隠岐諸島のうち西にしノ島・なかノ島・知夫里ちぶり島の三島を中心とする島々の総称。現在は隠岐郡西にししま町・海士あま町・知夫ちぶ村の町村域で、古代より知夫郡・海士郡が成立していた。島前の呼称は島後水道を挟んで北東にある島後どうごを含め、山陰道に対する道前・道後であるという説がある。史料上では正和元年(一三一二)八月の玉若酢命神社棟札写(億岐家古文書抄録)に神社造営の勧進が「道前」でも行われたとあるのが早い例である。応永一八年(一四一一)一〇月三日の直実安堵状(村上家文書)に隠岐国道前海部公文職、宝徳四年(一四五二)四月の秀重安堵状(同文書)には道前海士郡とみえる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「島前」の意味・わかりやすい解説

島前
どうぜん

島根県北東部、隠岐(おき)諸島南西部にある西ノ島、中ノ島、知夫里(ちぶり)島などの総称。隠岐郡西ノ島町、海士(あま)町、知夫村からなる。主として第三紀の粗面玄武岩からなる200メートル前後の丘陵台地で、わずかに粗面岩が貫いている。島前全体が西ノ島の焼火(たくひ)山(452メートル)を中央火口丘とする外輪山とされている。三島は環状に連なり、カルデラにあたる内海を抱き、知夫里島と中ノ島間に大口(おおくち)、知夫里島と西ノ島間に赤灘(あかなだ)瀬戸、中ノ島と西ノ島間に中井口の海峡があって外洋に通じている。外洋側は断層や海食による断崖(だんがい)が続き、国賀(くにが)海岸(西ノ島)、知夫赤壁(ちぶのせきへき)(知夫里島)などの景勝地があり、全域が大山(だいせん)隠岐国立公園に属す。

[飯田 光]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「島前」の意味・わかりやすい解説

島前
どうぜん

島根県隠岐諸島西部,西ノ島,中ノ島,知夫里島を中心とする島々の総称。北東部の島後に対する。新第三紀に噴出した粗面玄武岩からなり,西ノ島の焼火山を中央火山,3島を外輪山とする火山体の形をとっている。国指定名勝・天然記念物の国賀海岸知夫赤壁,国指定天然記念物のクロキヅタ産地,星神島のオオミズナギドリ繁殖地などがあり,大山隠岐国立公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「島前」の意味・わかりやすい解説

島前 (どうぜん)

隠岐(おき)

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世界大百科事典(旧版)内の島前の言及

【隠岐】より

…島根県北東部,日本海に浮かぶ諸島。ほぼ円形の島後(どうご)と南西の知夫里(ちぶり)島,中ノ島,西ノ島(この3島を島前(どうぜん)という)の4島のほか,約180の小島からなる。かつて島後は周吉(すき),穏地(おち)の2郡,島前は知夫,海士(あま)の2郡に分かれていたが,1969年4郡を合併して全域を隠岐郡と改称した。…

【島根[県]】より

…山間部には小盆地が発達し,とくに出雲地方の山間部には近世の砂鉄採取地が,盆地,段丘上に特有の地形を残す。隠岐諸島は日本最古の岩石ともいわれる隠岐片麻岩を基盤とする島後(どうご)と,焼火(たくひ)山を中央火口丘とし,西ノ島,中ノ島,知夫里(ちぶり)島に囲まれた内海をカルデラ火口原とする島前(どうぜん)からなる。島前,島後ともに海食崖がとくに島の北西側に発達している。…

※「島前」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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