峨嵋山(読み)がびさん

日本歴史地名大系 「峨嵋山」の解説

峨嵋山
がびさん

[現在地名]光市大字室積村

室積むろづみ村内の北部、室積湾を形成する釣針形に突出した半島(もとは島)にあり、標高一一六・九メートル。古生代領家変成岩からなり、七つの低い峰がある。近世には普賢ふげん山とよばれており、峨嵋山の名は中国四川省にある霊山にちなんで、のちに付けられたものという。

康応元年(一三八九)今川了俊の「鹿苑院殿厳島詣記」には、

<資料は省略されています>

と述べている。近世には、藩の用材林である御立山の一部であった。

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改訂新版 世界大百科事典 「峨嵋山」の意味・わかりやすい解説

峨嵋山 (がびさん)
É méi shān

中国,四川省中部にある山。峨眉,蛾眉とも記す。頂上には金頂,千仏頂,万仏頂の3峰があり,万仏頂が3099mでもっとも高い。盆地より約2500mぬきんでているため山容は壮麗,植物相も豊かで,〈天下名山〉とされる。金頂では御来迎のとき雲海に光輪と人影がうつる〈仏光〉もあらわれる。2世紀以降70余の寺院が建立され,16世紀には山西の五台山,浙江の天台山などとならんで仏教聖地となり,光明山の名でも呼ばれる。また道教においても信仰の対象となり,〈虚霊洞天〉〈霊陵太妙天〉と称されている。
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百科事典マイペディア 「峨嵋山」の意味・わかりやすい解説

峨嵋山【がびさん】

中国,四川省嘉定西方の山。峨眉山とも書く。標高3099m。仏教の霊場普賢菩薩を中心とする。牛心・伏虎・万年など寺院が多く,九華山五台山普陀山と並び四大名山といわれる。高さ71mの磨崖仏楽山大仏〉がある。峨嵋山と楽山大仏は1996年,世界遺産(自然・文化複合)に登録。夏季冷涼なため避暑地としても有名で,古くは多くの文人墨客が訪れた。
→関連項目大雪山脈

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世界大百科事典(旧版)内の峨嵋山の言及

【観音】より

…宋代以後,禅宗を除いて,仏教は一般に衰退したのに,観音信仰だけはあらゆる階層に浸透流行し,一般民衆の生活と深い関連をもったのである。観音の霊場として最も崇信されたのは,浙江省舟山列島の普陀山で,文殊をまつる山西省の五台山,普賢をまつる四川省の峨嵋山とともに,天下の三大仏教道場とされた。とくに海上商人や漁師の信仰をうけたこの普陀山の開基は,日本の入唐僧の慧萼と伝えられている。…

【五台山】より

…中国山西省にある山脈の主峰五山を指す。《華厳経》の受持にともない,5世紀ころから文殊菩薩の住む清涼山にあたると信ぜられ,普賢菩薩の峨嵋山,観音の補陀落山とともに中国三大仏教聖地の一つとなった。浄土教の曇鸞(どんらん)がここに遊び聖跡に感じて出家した話は有名であるが,大塔院寺等いわゆる台中百ヶ寺の基礎が置かれたのも,このころである。…

【四川[省]】より

…北部の岷山は崑崙山脈の東支脈にあたり,岷江と嘉陵江の発源地で,北は黄土高原に連なり,南は湿地帯のひろがる松潘(しようはん)草地となる。高原部と四川盆地との境には峨嵋山があり,標高3099m,山中には70余の寺院があり,五台山,天台山などとならび中国仏教の聖地とされている。また,四川ではもっとも降水量が多く年間2000mmをこす。…

【巡礼】より

…聖地や霊場を順に参拝して信仰を深め,心身のよみがえりと新生の体験また利益(りやく)を得るための宗教行為。参拝場所は宗教の発祥地,本山の所在地,聖者や聖人の居住地や墓,奇跡や霊験を伝える場所などであり,それらを順拝することを通して祈願の成就と贖罪(しよくざい)や滅罪の効果を期待する。巡礼の旅に出るときは,精進潔斎(しようじんけつさい)して禁欲を保ち,巡礼姿と呼ばれる特定の服装をする。しかし一般には,巡礼の往路は修行と受難のコースを象徴するのに対して,帰路は慰安と観光の旅に移行する場合が多い。…

※「峨嵋山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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