岩絵具(読み)いわえのぐ

精選版 日本国語大辞典 「岩絵具」の意味・読み・例文・類語

いわ‐えのぐ いはヱのグ【岩絵具】

〘名〙 天然鉱物細粉にし精製、乾燥させた絵の具。非水溶性。群青(ぐんじょう)類と緑青(ろくしょう)類の二系統で、東洋画に用いる。人工のものもある。岩物(いわもの)
閨秀(1972)〈秦恒平〉一「杉の焼目へ岩絵具の直か塗りだが」

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百科事典マイペディア 「岩絵具」の意味・わかりやすい解説

岩絵具【いわえのぐ】

東洋画に用いる絵具。朱,丹,緑青(ろくしょう),群青(ぐんじょう),代赭(たいしゃ),黄土胡粉(ごふん)など,いずれも鉱物を砕いて精製した不透明顔料粒子を細かくすると薄い色になる。水に溶けないので接着剤として(にかわ)を用いる。
→関連項目梅原竜三郎絵具金碧画濃絵日本画

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩絵具」の意味・わかりやすい解説

岩絵具
いわえのぐ

天然に産する鉱物を原料とする絵具。無機顔料。水に溶解しない粉末で膠水と練り合せて用いる。鮮明な色調を長期間保ち,東洋絵画の絵具の主流藍銅鉱として産する濃青色の群青 (ぐんじょう) をはじめ,緑色の緑青 (ろくしょう。孔雀石) ,赤色の朱 (辰砂) などがおもなもので,ほかに丹,黄土,岱赭 (たいしゃ) ,白土,胡粉など色数は限られているが,混色されることは少い。群青,緑青などの場合は粉砕して微粒状にすることで明るい色調 (白群,白緑) が得られる。その他金属化合物から人工的に作られるものを新岩絵具と呼ぶことがある。

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世界大百科事典(旧版)内の岩絵具の言及

【絵具】より

…おもな絵具とその展色剤主成分を列挙すると次のようになる。(1)水性絵具 水彩絵具およびグアッシュ(アラビアゴム+水),ポスター・カラー(にかわまたはデキストリン,エチレングリコール+水),テンペラ(卵またはカゼイン),フレスコ(石灰水),墨汁および岩絵具(にかわ液),水性アクリル絵具(アクリルエマルジョン)。(2)油性絵具 油絵具(植物性乾性油+樹脂),ペンキおよびエナメル(乾性油または有機溶剤+樹脂),クレヨンおよびパス(蠟+乾性油),油性版画インク(乾性油),シルクスクリーン用インク(乾性油,アルキド樹脂など)。…

【日本画】より

…ほかに,朱土や,胡粉(ごふん)を塗ったのも使われる。
[絵具]
 日本画の絵具を大別すると,古代より使われていた天然に産出する鉱物を砕いた岩絵具と,動植物から抽出した色素を顔料とする絵具,そして近代以降開発された人造の絵具とに分かれる。ここでは天然色料を中心に述べる。…

※「岩絵具」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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